二世帯住宅は「世帯を分けて暮らす」という特殊な目的で建てられた物件です。そのため、一般的な一戸建てと比べて需要が限られ、売却に時間がかかる傾向があります。

しかし、「売れない」わけではありません。二世帯住宅ならではの買主層が存在し、適切な売り方をすれば相場に近い価格で成約できます。この記事では、二世帯住宅の売却で押さえるべきポイントを解説します。

二世帯住宅の3タイプと売りやすさ

タイプ特徴売りやすさ
完全分離型玄関・キッチン・浴室すべて独立★★★(最も売りやすい)
部分共有型玄関や浴室を共有★★☆
完全同居型キッチン・浴室を共有★☆☆(最も売りにくい)

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完全分離型は玄関が2つあり、各世帯が独立して生活できるため、「賃貸併用住宅」や「シェアハウス」として活用できる柔軟性があります。そのため投資家やリノベーション前提の買主にも訴求でき、最も売りやすいタイプです。

一方、完全同居型は間取りの自由度が低く、二世帯で暮らす予定のない買主にとっては使いにくい物件です。

二世帯住宅を買う人はどんな人か

二世帯住宅の買主は、以下のような層に分かれます。

1. 二世帯で暮らす予定のファミリー:親世帯と同居する30〜40代が中心です。新築で二世帯住宅を建てると4,000万〜6,000万円以上かかるため、中古の二世帯住宅は価格面で魅力があります。

2. 賃貸併用住宅として活用したい買主:完全分離型であれば、1世帯分を賃貸に出して家賃収入を得ることが可能です。住宅ローンの返済に充てられるため、投資意識の高い買主に人気があります。

3. 在宅介護を見据えた買主:親の介護が必要になった場合に、近くに住みながらも適度な距離感を保てる二世帯住宅は需要があります。

4. リノベーション前提の買主:二世帯部分を統合して広い一戸建てとしてリノベーションする層もいます。

価格設定の考え方

二世帯住宅の査定は複雑です。建物の延床面積が大きい(150〜250㎡)ため、単純な坪単価では割高に見えやすくなります。

価格設定のポイントは、同エリアの一般的な一戸建ての相場を基準にし、二世帯住宅としての付加価値(設備が2セット、広い延床面積等)を加味する方法です。ただし、付加価値が価格に反映される度合いは限定的で、建築費の50〜70%程度しか回収できないのが実情です。

建築費が5,000万円だから5,000万円で売れるとは限らない

二世帯住宅は建築費が高額になりますが、中古市場では「二世帯住宅を求める人」の絶対数が少ないため、需要と供給のバランスで価格が決まります。建築費=売却価格ではない点を理解しておく必要があります。

タイプ別の売却戦略

完全分離型:「二世帯住宅」だけでなく「賃貸併用住宅」としても広告を出しましょう。ポータルサイトの検索条件で「二世帯」はもちろん、「投資用」「賃貸併用」にも掲載することで、買主の幅が広がります。

部分共有型:共有部分をどう使えるか(リフォームで独立させられるか等)を具体的に提示すると、買主が生活をイメージしやすくなります。

完全同居型:価格を大きめに下げて「広い一戸建て」として売り出すか、リフォームして通常の一戸建てに戻してから売る方法を検討しましょう。

リフォーム・用途変更の検討

二世帯住宅のまま売れない場合は、以下の選択肢があります。

1. 2世帯を1世帯に統合するリフォーム:費用は200万〜500万円程度。間取りの自由度が上がり、一般的な一戸建てとして売却できます。

2. 賃貸に出して収益物件として売却:完全分離型なら片方を賃貸に出し、オーナーチェンジ物件として投資家に売る方法もあります。

3. 解体して更地にする:建物が古い場合(築30年以上)は、解体費用300万〜500万円をかけても更地の方が高く売れるケースがあります。

福岡市の事例

福岡市城南区の完全分離型二世帯住宅(築18年・延床面積200㎡・土地60坪)は、当初「二世帯住宅」として売り出しましたが6ヶ月間反応がありませんでした。そこで「賃貸併用住宅」としてリポジショニングし、片方の世帯を賃貸した場合の想定利回りを掲載したところ、投資家からの問い合わせが増え、3ヶ月後に3,680万円で成約しました。

よくある質問

Q. 二世帯住宅は解体して更地にした方が売れますか?

築年数が古く(築30年以上)、かつ土地の価値が高いエリアであれば、更地にした方が売りやすくなる場合があります。ただし、解体費用300万〜500万円がかかるため、費用対効果の検討が必要です。

Q. 二世帯住宅の固定資産税は高いのですか?

完全分離型の場合は2戸分として扱われ、住宅用地の特例が2倍適用されるため、むしろ税金面で有利になることがあります。

Q. 二世帯住宅の売却は仲介と買取どちらがいいですか?

まず仲介で市場に出すことをおすすめします。3〜6ヶ月で反応がなければ買取を並行検討しましょう。

「二世帯住宅は「誰に」「どう見せるか」で売れるかどうかが変わります。二世帯住宅として売れなければ、賃貸併用住宅や広い一戸建てとして切り口を変えてみましょう。」

Base-up 久保 塁