結論:はい、賃貸中の物件でも売却できます。入居者に退去してもらう必要はなく、賃貸借契約を引き継いだまま買主に売却する「オーナーチェンジ」という方法があります。ただし、居住用として売る場合と比べて売却戦略が異なるため、注意点を理解しておくことが大切です。
オーナーチェンジとは
オーナーチェンジとは、入居者(賃借人)がいる状態のまま、物件のオーナーだけが変わる売却方法です。賃貸借契約はそのまま新オーナーに引き継がれ、入居者は退去する必要がありません。
買主は購入後すぐに賃料収入を得られるため、投資用物件として購入する投資家やオーナーが主なターゲットになります。
賃貸中に売るメリット
入居者に退去を求める必要がない。正当事由のない退去交渉は借地借家法で制限されており、立ち退き料が必要になることもあります。オーナーチェンジなら退去の手間とコストが不要です。
購入後すぐに賃料収入が得られるため、投資家にとって魅力的。空室リスクがない状態で購入できるのは、投資家にとって大きなメリットです。
内覧が不要。入居者がいるため室内を見せる必要がなく、売却活動中のストレスが少ないです。利回りや物件資料で判断してもらいます。
賃貸中に売るデメリット
居住用として売るより価格が低くなることが多い。投資用物件の価格は「利回り」で決まるため、居住用として売る場合よりも価格が低くなる傾向にあります。
買主が投資家に限定される。「自分で住みたい」という一般の購入者は対象外になるため、買主の母数が減ります。
賃料が相場より安い場合、利回りが下がる。長期入居者の場合、賃料が現在の相場よりも安くなっていることがあり、これが利回りを押し下げ、売却価格にも影響します。
価格の考え方
オーナーチェンジ物件の価格は、「年間賃料 ÷ 期待利回り」で算出されるのが基本です。
たとえば、月額賃料8万円(年間96万円)の物件を利回り6%で売る場合、96万円 ÷ 6% = 1,600万円が目安です。
一方、同じ物件を空室にして居住用として売る場合、2,000万円以上で売れる可能性もあります。オーナーチェンジと空室売却の価格差は、物件や地域によって200〜500万円程度になることがあります。
| 売却方法 | 価格の決まり方 | 目安 |
|---|---|---|
| オーナーチェンジ(賃貸中) | 利回りベース | 居住用の7〜9割程度 |
| 空室にして居住用で売却 | 実需ベース(周辺相場) | 市場価格どおり |
← スクロールできます →
退去後に売る場合との比較
退去を待ってから売ったほうが高く売れる可能性はありますが、リスクもあります。
退去までの期間が読めない。入居者がいつ退去するかはわかりません。退去を待つ間、固定費(管理費・修繕積立金・固定資産税)がかかり続けます。
退去後にリフォームが必要になる場合がある。長期入居後は室内が劣化していることが多く、居住用として売るためにはリフォーム費用がかかることがあります。
判断のポイント:「オーナーチェンジでの売却価格」と「退去後の居住用売却価格」の差が大きく、かつ退去の目処が立っている場合は、退去を待つ価値があります。差が小さい場合は、すぐに売却したほうが合理的です。
定期借家契約の場合
契約が定期借家契約の場合、契約満了で退去してもらえるため、満了時期に合わせて居住用として売却する計画が立てやすくなります。
売却の流れ
①収益情報を整理する。現在の賃料・管理費・修繕積立金・固定資産税などの収支情報をまとめます。
②不動産会社に査定を依頼する。オーナーチェンジと空室売却の両方の査定額を出してもらい、比較します。
③売却方法を決定する。価格差やご自身の事情を踏まえて、オーナーチェンジか退去後の売却かを決めます。
④売却活動・成約。オーナーチェンジの場合、投資家向けの販売チャネルを活用します。
⑤入居者への通知。売買契約締結後、入居者にオーナーが変わる旨を通知します。敷金の精算も新旧オーナー間で行います。
「賃貸中の物件を売却する際は、「今すぐ売るか」「退去を待つか」の判断が重要です。両方の査定額を比較したうえで、ベストな方法をご提案いたします。」
Base-up 久保 塁よくある質問
Q. 入居者に売却のことを伝える必要はありますか?
売却活動中は伝える必要はありません。売買契約が成立した後に、オーナーが変わる旨を通知します。入居者の生活には影響がないため、心配する必要はありません。
Q. 入居者を退去させてから売ることはできますか?
普通借家契約の場合、正当事由がない限り貸主から一方的に退去を求めることはできません。立ち退き料を支払って合意退去する方法もありますが、費用がかかります。
