「1階だから安くしか売れない」「北向きは人気がない」——そう思い込んで売却を躊躇している方は少なくありません。確かに、南向き高層階と比べれば価格は下がります。しかし、条件が不利な物件にも必ず需要はあります。

この記事では、1階・北向き・日当たり不良などの「不利な条件」を抱えたマンションの売り方と、買主への効果的なアピール方法を解説します。

条件不利が価格に与える影響の実態

一般的に、条件が不利な住戸は同じマンション内の好条件住戸と比べて以下の価格差があります。

条件価格への影響(目安)
1階(2階以上との比較)−5〜15%
北向き(南向きとの比較)−5〜10%
日当たり不良(隣接建物あり)−5〜15%
線路・幹線道路沿い(騒音)−5〜10%
条件複合(1階+北向き等)−15〜25%

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重要なのは、これらの数字は「売れない」のではなく「安くなる」ということです。適切な価格設定ができていれば売却は十分に可能です。

1階住戸のメリットと売り方

1階住戸にはデメリットだけでなく、他の階にはないメリットがあります。

専用庭がある。ガーデニングや子どもの遊び場として、一戸建て感覚で使えます。福岡市内でも専用庭付きの1階は、小さな子どもがいるファミリー層に人気があります。

階段・エレベーター不要。高齢者や車いす利用者にとっては大きなメリットです。将来の介護を見据えた購入者層もいます。

下階への騒音を気にしなくてよい。小さな子どもがいる家庭では、これだけで1階を選ぶ理由になります。

災害時の避難がしやすい。地震や火災の際に素早く避難できることは、防災意識の高い買主への訴求材料になります。

福岡市の事例

福岡市南区のマンション1階住戸(築15年・70㎡・専用庭12㎡付き)が、同マンション3階の成約価格とわずか180万円差で売却できたケースがあります。専用庭の価値を適切にアピールした結果です。

北向き住戸の売却戦略

北向き住戸は日当たりの面で不利ですが、真夏の西日が入らないという利点があります。福岡市の夏は高温多湿で、西日の暑さに悩む方は多いため、「夏涼しい住戸」としてアピールすることが可能です。

また、北向きでも前面に建物がなく開放感がある場合や、間接光で室内が均一に明るい場合は、写真撮影を工夫してその魅力を伝えましょう。内覧は午前中の明るい時間帯に設定するのがコツです。

日当たり不良物件のアピールポイント

隣接する建物に日光を遮られている場合は、日当たり以外の価値を前面に出します。

駅からの距離。日当たりが悪い物件は駅近の好立地にあることが多いです。「日当たりを取るか、利便性を取るか」のトレードオフを明確に示しましょう。

プライバシー。隣の建物が近いということは、逆に通行人からの視線が入りにくいというメリットもあります。

照明・インテリアで補う。内覧時にすべての照明を点灯し、白系のカーテンやインテリアで室内を明るく演出することが有効です。

価格設定の考え方

条件不利物件の価格設定で重要なのは、同マンション内の過去の成約事例を基準にすることです。同じマンションの好条件住戸の成約価格から、条件差に応じた減額を行います。

自分で相場を調べるのが難しい場合は、不動産会社に「同マンション内の階層別・向き別の取引事例」を出してもらいましょう。これにより、条件差を数字で把握できます。

相場以上に安く出す必要はない

「条件が悪いから」と自ら過度に値下げする方がいますが、これは避けてください。適正な市場価格で売り出し、反応を見てから調整するのが鉄則です。

ターゲットの絞り方

条件不利物件は、万人受けを狙わないことが売却成功のカギです。

1階 → 小さな子どもがいるファミリー、高齢者、ペット飼育者。北向き → 在宅ワーカー(画面の映り込みが少ない)、夏の暑さが苦手な方。日当たり不良 → 駅近を最優先する共働き世帯。

不動産会社にターゲット像を共有し、広告文言やポータルサイトの掲載写真をターゲットに合わせて調整してもらうことが重要です。

よくある質問

Q. 1階住戸は防犯面が不安で売れにくいのでは?

防犯面を気にする買主はいますが、オートロック・防犯カメラ・人感センサーライトなどの設備があればアピール材料になります。また、面格子やシャッター付きなら安心感が高まります。

Q. 北向きの部屋は結露・カビのリスクがあると言われますが?

確かにリスクはありますが、24時間換気システムの稼働状況や断熱性能を確認し、問題がなければその旨を伝えましょう。問題がある場合は物件状況報告書に正直に記載してください。

Q. 条件不利物件は仲介より買取がいいですか?

一概には言えません。仲介で適切なターゲットに届ければ市場価格で売却できる可能性があります。ただし、長期化が予想される場合は買取も並行して検討しましょう。

「条件が不利な物件ほど「誰に届けるか」が重要になります。万人受けを狙うのではなく、その物件の良さを理解してくれる買主を的確に見つけることが私たちの仕事です。」

Base-up 久保 塁