「自己破産すると家はどうなるのか」「家族に迷惑がかかるのではないか」——自己破産と不動産の関係は、多くの方が不安を感じるテーマです。この記事では、自己破産した場合の不動産の扱い・家を残す方法の有無・生活再建の道筋を解説します。

自己破産すると不動産はどうなるか

自己破産を申立てると、裁判所が選任した破産管財人が財産の調査・換価(現金化)を行います。不動産は「換価すべき財産」として売却され、その代金は債権者への配当に充てられます。

つまり、自己破産をすると、原則として不動産は手放すことになります。ただし、例外的に不動産を残せるケースや、自己破産以外の方法で債務を整理しながら家を残す手段もあります。

自己破産前に売却するか・破産後に処分されるか

自己破産の前に不動産を売却すること自体は可能ですが、注意が必要です。

適正価格での売却であれば問題ない——市場価格に近い価格で売却し、代金をローンの返済や生活費に充てることは認められます。

不当に安い価格での売却は問題になる——親族に格安で売却するなど、財産を意図的に減少させる行為は「詐害行為」とみなされ、破産管財人に否認される可能性があります。

自己破産前の不動産売却は弁護士に相談してから

自己破産を検討している段階で不動産を売却する場合は、必ず弁護士に相談してから進めてください。タイミングや売却価格によっては、免責不許可事由に該当するリスクがあります。

家を残す方法はあるか — 個人再生という選択肢

どうしても家を手放したくない場合、「個人再生」の住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用する方法があります。

個人再生とは、裁判所の認可を受けて債務を大幅に減額(1/5〜1/10程度)し、3〜5年で分割返済する手続きです。住宅ローン特則を使えば、住宅ローンだけは従来どおり返済を続け、その他の借金を減額しながら家を残すことができます。

項目自己破産個人再生(住宅ローン特則あり)
家の扱い売却される残せる
借金の扱い原則全額免除1/5〜1/10に減額(3〜5年返済)
住宅ローンの扱い売却代金で返済・残債免除従来どおり返済を継続
収入要件なし安定した収入が必要
信用情報5〜10年間登録5〜10年間登録

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個人再生を選べる条件

(1) 安定した収入がある (2) 住宅ローン以外の借金総額が5,000万円以下 (3) 減額後の返済計画が実行可能であること。これらを満たさない場合は、自己破産が選択肢になります。

家族名義の不動産への影響

自己破産で処分されるのは、破産者本人名義の財産のみです。配偶者や子ども名義の不動産は影響を受けません。

ただし、以下のケースには注意が必要です。

共有名義の場合——本人の持分のみが処分対象になります。持分だけを第三者に売却されると、共有関係が複雑になるリスクがあります。

配偶者が連帯保証人の場合——本人が自己破産しても、連帯保証人の債務は消えません。配偶者が連帯保証人になっている住宅ローンの場合、配偶者に請求が行く可能性があります。

自己破産と任意売却の関係

自己破産を検討している場合でも、任意売却で不動産を先に売却することは有効な選択肢です。

任意売却のメリットは、競売よりも高い価格で売却できること。高く売れればその分だけ残債が減り、破産手続きの負担も軽減されます。また、任意売却であれば引っ越し費用を売却代金から捻出できる場合があり、経済的な負担を軽減できます。

自己破産前の任意売却は弁護士と不動産会社の連携が重要です。弁護士に破産手続きの方針を確認したうえで、不動産会社と売却のスケジュールを調整してください。

破産後の生活再建 — 住まいの確保

自己破産後、賃貸住宅に住むことは可能です。破産歴は信用情報機関に登録されますが、賃貸の審査は信販系の保証会社を使わない物件であれば通るケースが多くあります。

住まいの確保方法としては以下が考えられます。

1. 公営住宅を申し込む——所得が低い場合は優先的に入居できます。

2. 信販系以外の保証会社を使う賃貸物件を探す——独立系の保証会社であれば、信用情報を参照しないため審査に通りやすくなります。

3. 親族にリースバックを依頼する——自宅を買い取ってもらい、賃料を払って住み続ける方法です。ただし、破産管財人の承認と適正価格での売買が前提です。

よくある質問

Q. 自己破産すると家族に影響はありますか?

破産者本人以外の家族の財産・収入・信用情報には直接の影響はありません。ただし、家族が連帯保証人になっている場合は、保証債務の履行を求められる可能性があります。

Q. 自己破産後、何年で住宅ローンを組めるようになりますか?

信用情報機関の登録は5〜10年程度で削除されます。登録が削除された後は、収入や勤務状況によって住宅ローンの審査を受けることが可能です。

Q. 持ち家がある場合、自己破産の費用は高くなりますか?

不動産がある場合は「管財事件」として扱われ、破産管財人の報酬として最低20万円程度(裁判所による)の予納金が必要です。不動産がない場合の「同時廃止事件」より費用が高くなります。

「自己破産は人生の終わりではなく、再スタートのための法的な手続きです。不動産の処分方法についても、最善の方法を一緒に考えます。」

Base-up 久保 塁