シロアリ被害、雨漏り、建物の傾き——これらの物理的瑕疵(ぶつりてきかし)がある物件は、そのまま売れるのか不安に思う方が多いです。結論から言えば、瑕疵があっても売却は可能です。ただし、告知義務を果たし、適切な価格設定をすることが条件です。

この記事では、代表的な瑕疵の種類ごとに、売却への影響と対策を解説します。

瑕疵の種類と売却への影響

瑕疵の種類価格への影響(目安)修繕費用の目安
シロアリ被害(軽度)−5〜10%20万〜50万円
シロアリ被害(構造材まで浸食)−15〜30%100万〜300万円
雨漏り(屋根・外壁)−5〜15%30万〜150万円
建物の傾き(軽度:3/1000以下)−5〜10%50万〜200万円
建物の傾き(重度:6/1000以上)−20〜40%300万〜800万円
基礎のひび割れ−10〜20%50万〜300万円

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瑕疵の程度によって影響は大きく異なります。軽度であれば適切な価格調整で売却可能ですが、重度の場合は修繕前提の売却や買取を検討する必要があります。

シロアリ被害がある場合

シロアリ被害は木造住宅で最も多い瑕疵です。福岡市は温暖で湿度が高いため、全国平均よりシロアリ被害の発生率が高い地域です。

軽度の被害(床下のみ):防蟻処理(薬剤散布)で対応可能です。費用は20万〜50万円程度。処理済みであれば買主の不安は大幅に軽減されます。

重度の被害(柱・土台まで浸食):構造材の交換が必要になる場合は100万〜300万円の修繕費がかかります。修繕せずに売却する場合は、修繕費相当を値引きする覚悟が必要です。

シロアリ調査は無料の場合がある

シロアリ防除業者の多くは無料で調査を行っています。売却前に調査を受けて被害の有無を確認し、被害がなければ「シロアリ調査済み・被害なし」として売却のアピール材料にできます。

雨漏りがある場合

雨漏りは原因の特定が難しいことが売却のハードルになります。屋根、外壁のひび、サッシ周り、ベランダの防水層など、雨漏りの原因は多岐にわたります。

修繕してから売る場合:原因を特定し、適切な工事を行うことで「修繕済み」として売却できます。修繕費は30万〜150万円程度が目安です。

現状のまま売る場合:雨漏りの事実を物件状況報告書に記載し、修繕費相当の値引きを織り込んだ価格設定にします。

建物の傾きがある場合

建物の傾きは地盤の問題が原因であることが多く、修繕費用が高額になりがちです。

傾きの度合いは1000分の何(パーミル)で表されます。3/1000以下は構造上の問題がない範囲とされ、6/1000以上は「瑕疵」として扱われることが一般的です。

修繕方法は、ジャッキアップ(建物を持ち上げる)で200万〜500万円、地盤改良を含めると500万〜800万円が目安です。

ホームインスペクションの活用

ホームインスペクション(住宅診断)を実施して建物の状態を客観的に報告することで、買主の不安を軽減できます。費用は5万〜15万円程度です。瑕疵の有無を事前に明らかにすることで、「隠れた瑕疵」のリスクを減らし、契約不適合責任を問われるリスクも低減できます。

告知義務と物件状況報告書

売主は、知っている瑕疵を物件状況報告書に正直に記載する義務があります。記載すべき項目は以下の通りです。

・雨漏りの有無
・シロアリ被害の有無
・建物の傾き
・給排水管の不具合
・建物の腐食・ひび割れ
・増改築の履歴

知っている事実を記載しなかった場合、契約不適合責任として修繕費用の負担や損害賠償を求められる可能性があります。「知らなかった」と主張するよりも、「正直に開示した」方が法的リスクは低くなります。

修繕してから売るべきか

修繕すべきかどうかは、修繕費用と価格上昇分のバランスで判断します。

修繕すべきケース:修繕費が50万円以内で、修繕により100万円以上の価格上昇が見込める場合(例:シロアリの防蟻処理)。

修繕不要のケース:修繕費が高額(200万円以上)で、修繕しても同額以上の価格上昇が見込めない場合。この場合は値引き前提で現状のまま売却し、修繕は買主に任せる方が合理的です。

判断が難しい場合は、不動産会社に「修繕前の査定額」と「修繕後の想定査定額」の両方を出してもらい、比較してください。

よくある質問

Q. 瑕疵があることを隠して売るとどうなりますか?

契約不適合責任を問われます。修繕費の負担、損害賠償、最悪の場合は契約解除を求められます。正直に開示する方がリスクは低いです。

Q. 瑕疵担保免責で売ることはできますか?

個人間の売買であれば契約で瑕疵担保責任(契約不適合責任)を免責にする特約を付けることは可能です。ただし、売主が知っていた瑕疵を告知しなかった場合は免責が無効になります。

Q. ホームインスペクションの費用は誰が負担しますか?

一般的には依頼者(売主または買主)が負担します。売主が実施する場合は5万〜15万円程度です。

「瑕疵がある物件は「正直に伝えて、その分を価格に反映する」のが最もトラブルの少ない売り方です。隠したことがトラブルになるケースを何度も見てきました。正直に開示した上で、最善の売却方法を一緒に考えましょう。」

Base-up 久保 塁