再建築不可とは、現在の建物を解体した場合に新しい建物を建てることができない土地のことです。主な原因は接道義務を満たしていないこと(建築基準法第43条)です。
再建築不可の物件は「建て替えられない」という大きなハンデがありますが、リフォーム・リノベーションは可能であり、売却する方法も複数あります。この記事で詳しく解説します。
再建築不可になる原因
再建築不可の主な原因は以下の3つです。
1. 接道義務を満たさない。建築基準法では、建物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接していること」が求められます。古い住宅地では、この条件を満たさない土地が多数存在します。
2. 前面道路が「建築基準法上の道路」ではない。見た目は道路でも、建築基準法が施行される前からある細い道(いわゆる「通路」)は道路として認められないことがあります。
3. 道路に面していない。他人の土地に囲まれた「袋地」の場合、道路に接する部分がゼロのため再建築不可になります。
| 条件 | 状態 | 再建築 |
|---|---|---|
| 幅員4m以上の道路に2m以上接面 | 適合 | 可能 |
| 幅員4m未満の道路に接面 | 要セットバック | 条件付き可能 |
| 道路に1.5m接面 | 不適合 | 不可 |
| 道路に接面なし(袋地) | 不適合 | 不可 |
← スクロールできます →
価格への影響
再建築不可物件は、再建築可能な同条件物件と比べて30〜50%程度安いのが一般的です。福岡市内でも、再建築可能であれば2,000万円の土地が、再建築不可では1,000万〜1,400万円程度になるケースがあります。
ただし、立地が良ければ建物付きでも一定の需要があります。リノベーション前提の買主や、セットバック等で再建築可能にできる可能性がある場合は、値下がり幅が小さくなります。
住宅ローンが使えない
再建築不可物件は多くの金融機関で住宅ローンが通りません。担保価値が低いためです。したがって、買主は現金購入またはノンバンク系のローン(金利が高い)を利用する必要があり、購入できる層が限られます。
売却する4つの方法
1. リフォーム・リノベーション済みで売る。再建築はできませんが、柱と基礎を残した大規模リフォームは可能です(建築確認不要の範囲内)。リフォーム後に「即入居可」として売り出すと、買主のハードルが下がります。
2. 投資家に売る。賃貸物件として運用する投資家は、再建築不可でも利回り次第で購入します。福岡市は賃貸需要が旺盛なため、投資用としての訴求は有効です。
3. 隣地の所有者に売る。隣の土地と一体化すれば接道義務を満たせる場合があります。隣地の所有者にとっては敷地拡大のチャンスであり、市場価格以上の金額で買ってもらえる可能性もあります。
4. 不動産会社に買い取ってもらう。再建築不可物件を専門に扱う買取業者は一定数存在します。価格は低めですが、確実に売却できます。
セットバック・隣地購入で再建築可能にする
再建築不可を解消する方法があれば、物件の価値は大幅に上がります。
セットバック:前面道路の幅員が4m未満の場合、道路中心線から2mの位置まで敷地を後退させることで、建築が認められます。ただし、敷地面積が狭くなります。
隣地の一部を購入:接道幅が2m未満の場合、隣地の一部を購入して2m以上にする方法があります。隣地との交渉が必要ですが、成功すれば物件価値が大幅に上がります。
建築基準法第43条の許可:接道義務を満たさなくても、特定行政庁の許可を得れば建築が認められるケースがあります。周囲に広い空地がある場合や、安全上問題がないと判断される場合に適用されます。
リフォームの範囲と制限
再建築不可物件でも、建築確認が不要な範囲のリフォームは自由に行えます。
・内装のフルリフォーム
・キッチン・浴室・トイレの交換
・屋根の葺き替え
・外壁の張替え
・基礎・柱を残した大規模改修
ただし、建物を全部解体して建て直す行為は不可です。また、増築(面積を増やす工事)も建築確認が必要になるため、原則としてできません。
よくある質問
Q. 再建築不可でも固定資産税はかかりますか?
はい、土地・建物ともに固定資産税はかかります。ただし、評価額が低いため税額は比較的安くなります。
Q. 再建築不可物件を相続した場合はどうすべきですか?
まず現状の市場価値を査定してください。その上で、売却・賃貸・自己利用のどれが最も合理的か検討しましょう。空き家のまま放置すると固定資産税の住宅用地特例が外れ、税金が最大6倍になるリスクがあります。
Q. 再建築不可の情報は重要事項説明で伝えられますか?
必ず伝えられます。再建築不可は重要事項説明の必須事項です。この点を隠して売却するとトラブルの原因になります。
「再建築不可物件は通常の売却より難しいのは事実ですが、方法がないわけではありません。隣地交渉やセットバック、投資家への訴求など、複数の選択肢を検討して最善の方法を見つけましょう。」
Base-up 久保 塁