結論:共有名義の不動産を「全体として」売却するには、共有者全員の同意が必要です。片方だけの判断で売ることはできません。ただし、自分の「持分」だけを売ることは法律上は可能です。しかし、持分だけの売却は現実的にデメリットが大きく、慎重な判断が必要です。
この記事では、共有名義の不動産を売却する方法と、トラブルを避けるためのポイントを整理します。
共有名義の基本ルール
共有名義とは、ひとつの不動産を複数の人が共同で所有している状態です。夫婦でマンションを購入した場合や、相続で兄弟が共有するケースが典型的です。
共有不動産に対してできることは、持分の割合に関係なくルールが決まっています。
| 行為 | 必要な同意 |
|---|---|
| 保存行為(修繕など) | 単独でできる |
| 管理行為(賃貸に出すなど) | 持分の過半数 |
| 変更・処分行為(売却・建替えなど) | 共有者全員の同意 |
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売却は「処分行為」にあたるため、共有者全員の同意が必要です。持分が90%あっても、残り10%の共有者が反対すれば売却できません。
全体を売却する方法
共有不動産を最も高く・スムーズに売るには、共有者全員が合意して「全体として」売却する方法が最善です。
全員が売却に同意している場合、売買契約書に共有者全員が署名・捺印し、それぞれの持分に応じて売却代金を分配します。実務上は代表者を決めて、不動産会社とのやりとりを一本化するとスムーズです。
共有者が遠方に住んでいる場合でも、委任状を用意すれば代表者が手続きを進められます。
持分だけを売却する場合
法律上、自分の持分だけを第三者に売却することは可能です。他の共有者の同意も不要です。しかし、持分だけを買いたいという一般の購入者はほぼいません。
持分を購入するのは、主に「持分買取の専門業者」です。これらの業者は、買い取った持分を使って他の共有者と交渉し、最終的に全体の売却や買取を目指します。
そのため、持分売却の価格は市場価格の5〜7割程度が相場です。持分が2分の1なら、本来の半額よりもさらに安くなるということです。
持分売却のリスク
価格が大幅に安くなる。前述のとおり、持分だけでは使い道が限られるため、大幅なディスカウントが避けられません。
他の共有者との関係が悪化する可能性。知らない第三者が共有者に加わることで、残された共有者にとっては大きなストレスになります。業者が交渉を持ちかけてくるケースもあり、トラブルに発展することがあります。
買取業者の質にばらつきがある。持分買取業者のなかには、強引な交渉を行う業者も存在します。依頼先の選定は慎重に行う必要があります。
持分売却は「最後の手段」
持分だけの売却は、共有者との話し合いがどうしてもまとまらない場合の最終手段と考えてください。まずは全体での売却に向けて協議することが、金額面でも関係面でも最善です。
現実的な解決パターン
共有名義の不動産で売却の話が出たとき、実務上よくある解決パターンは次の3つです。
パターン①:全員合意で売却し、代金を持分に応じて分配。これが最もシンプルで、手取り額も最大になります。
パターン②:一方が他方の持分を買い取る。たとえば離婚で夫婦共有のマンションを売る場合、一方が住み続けたいなら、相手の持分を買い取って単独名義にする方法があります。住宅ローンの借り換えが必要になることもあります。
パターン③:裁判所に「共有物分割請求」を行う。話し合いがまとまらない場合、裁判所に分割を請求できます。裁判所が競売や代金分割を命じることもありますが、時間と費用がかかるため、できれば避けたい手段です。
トラブルを防ぐためにできること
共有状態をできるだけ早く解消する。相続などで共有名義になった場合、「とりあえずそのまま」にしておくと、年月が経つほど解消が難しくなります。共有者が亡くなれば、さらに相続が発生して共有者が増える「数次相続」のリスクもあります。
不動産会社に第三者として相談する。共有者同士では感情的になりやすい話も、第三者が間に入ることで冷静に進められることがあります。査定額という客観的な数字をもとに話し合うことで、合意形成がスムーズになるケースは多くあります。
「共有名義の不動産は、時間が経つほど問題が複雑になりがちです。「いつか話し合おう」と先延ばしにするより、まずは物件の価値を把握するところから始めてみませんか。査定は無料で、売却を決めていなくても大丈夫です。」
Base-up 久保 塁よくある質問
Q. 共有者が認知症の場合はどうすればよいですか?
共有者が認知症で判断能力がない場合、成年後見人を選任する必要があります。家庭裁判所への申立てが必要で、選任までに2〜4ヶ月程度かかります。
Q. 共有者が行方不明の場合は売却できますか?
家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てることで、行方不明の共有者に代わって売却の手続きを進められる場合があります。弁護士への相談をおすすめします。
