結論:固定資産税を滞納していても、不動産の売却は可能です。ただし、滞納が長期化して物件が差押え登記されている場合は、引渡しまでに差押えを解除する必要があります。売却代金で滞納分を精算するのが一般的な方法です。
滞納があっても売れる理由
固定資産税の滞納は、売主の債務の問題であり、不動産そのものの瑕疵ではありません。滞納があっても売買契約を結ぶこと自体は法律上問題ありません。
ただし、実務上は以下の点をクリアする必要があります。
①差押え登記がある場合は、引渡しまでに解除すること。差押え登記が残ったまま買主に所有権を移転することはできません。
②滞納分の固定資産税を清算すること。売却代金の中から滞納分を支払い、差押えを解除してもらいます。
差押えとは何か
固定資産税を一定期間滞納すると、自治体は不動産に「差押え」の登記を行います。これは「この不動産は税金の担保として押さえられている」という公示です。
差押えの流れ:滞納が発生 → 督促状の送付 → 催告(電話・文書) → 差押え → 公売(競売に近い手続き)。
差押えから公売までには一定の期間がありますが、差押え段階で自主的に売却すれば、公売より高い価格で売れる可能性が高いです。
滞納がある場合の売却の流れ
①滞納額を確認する。自治体の税務課に問い合わせて、滞納額(延滞金を含む)を正確に把握します。
②不動産会社に相談する。滞納がある旨を正直に伝えてください。対応に慣れた不動産会社であれば、スムーズに進めてくれます。
③売却活動を開始する。差押え登記がある場合でも、売却活動自体は可能です。
④売買契約を締結する。契約書に「引渡しまでに差押えを解除する」旨を明記します。
⑤決済日に滞納分を精算する。売却代金の中から滞納分の固定資産税を支払い、自治体に差押え解除を依頼します。解除登記と所有権移転登記を同日に行います。
売却代金からの精算方法
実務上、最も多いのは「決済日に売却代金から滞納分を支払い、差押えを解除してから所有権を移転する」方法です。
具体的には、決済日に以下の支払いを同時に行います。
・買主から売主への売却代金の支払い
・売主から自治体への滞納税の支払い
・差押え解除登記の申請
・所有権移転登記の申請
これらを司法書士が一括して管理するため、買主にリスクが及ぶことはありません。
売却代金で滞納分を賄えない場合
滞納額が売却代金を上回る場合(いわゆるオーバーローン状態に加え税金の滞納がある場合)は、差押えの解除が困難になります。この場合は自治体との分割納付の交渉や、他の資金調達が必要になります。早めに税務課に相談してください。
放置するとどうなるか
固定資産税の滞納を放置すると、延滞金が年8.7%(納期限後1ヶ月を超えた部分)で加算されていきます。さらに、最終的には不動産が公売にかけられ、市場価格より大幅に安い金額で売却されてしまうリスクがあります。
公売になる前に自主的に売却すれば、市場価格に近い金額で売れる可能性が高いです。滞納がある場合こそ、早めの行動が重要です。
相談先と対処法
まずは自治体の税務課に相談する。滞納を放置するのではなく、「売却して納付する予定がある」と伝えることで、対応してもらいやすくなります。分割納付の相談に応じてくれるケースもあります。
不動産会社に相談する。滞納のある物件の売却に対応できる不動産会社を選びましょう。差押えの解除手続きに慣れているかどうかがポイントです。
「固定資産税の滞納を抱えたまま一人で悩む方は少なくありません。しかし、売却によって解決できるケースは多くあります。状況を教えていただければ、具体的な解決策をご提案します。まずはお気軽にご相談ください。」
Base-up 久保 塁よくある質問
Q. 滞納があることは買主にバレますか?
差押え登記がある場合、登記簿に記載されるため買主側も確認できます。ただし、決済時に精算されれば問題になることはありません。
Q. 固定資産税以外の税金(住民税など)の滞納でも差押えされますか?
はい、住民税や国民健康保険料の滞納でも不動産が差押えられることがあります。売却時の対応方法は固定資産税と同様です。
詳しくは「売却と住民税の関係」をご覧ください。
