不動産を売却した翌年、住民税の通知額を見て驚く方は少なくありません。譲渡所得に対する住民税は、所得税とは別に翌年6月から課税されます。「手取り額は計算していたけれど、翌年の住民税は計算に入れていなかった」とならないために、仕組みを理解しておきましょう。
住民税の基本的な仕組み
住民税は前年の所得に基づいて計算され、翌年6月から翌々年5月にかけて納付します。給与所得者は毎月の給与から天引き(特別徴収)、自営業者や年金受給者は納付書で支払います(普通徴収)。
不動産の譲渡所得にかかる住民税は「申告分離課税」として、通常の所得(給与・年金等)とは分けて計算されます。
譲渡所得にかかる住民税の税率
住民税の税率は所有期間によって異なります。所得税の税率と合わせて見てみましょう。
| 所有期間 | 区分 | 所得税率 | 住民税率 | 復興特別所得税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 5年超 | 長期譲渡 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
| 5年以下 | 短期譲渡 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
| 10年超(マイホーム) | 軽減税率 | 10%/15% | 4%/5% | — | 14.21%/20.315% |
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合計税率のうち住民税は5%または9%です。所得税に比べると税率は低いですが、翌年にまとめて課税されるため体感としては大きく感じます。
10年超所有のマイホームは軽減税率あり
所有期間10年を超えるマイホームの場合、譲渡所得6,000万円以下の部分は住民税4%(所得税10%)の軽減税率が適用されます。3,000万円特別控除と併用可能です。
詳しくは「3,000万円特別控除ガイド」をご覧ください。
具体的な計算例 — 譲渡所得500万円の場合
長期譲渡(所有期間5年超)で譲渡所得が500万円の場合を計算します。
| 税目 | 計算 | 税額 |
|---|---|---|
| 所得税 | 500万 × 15% | 75万円 |
| 復興特別所得税 | 75万 × 2.1% | 15,750円 |
| 住民税 | 500万 × 5% | 25万円 |
| 合計 | — | 1,015,750円 |
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このうち住民税25万円は、売却した年の確定申告後、翌年6月からの住民税に上乗せされます。普通徴収なら4回分割、特別徴収なら12か月に分割されます。
給与所得者が注意すべきポイント
会社員の場合、不動産売却による住民税増額が給与天引きに反映されるため、手取り給与が減少します。
確定申告時に住民税の納付方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択すれば、譲渡所得分だけは自分で別途納付することもできます。会社に売却益の存在を知られたくない場合は、普通徴収を選びましょう。
申告書の記入に注意
確定申告書の「住民税に関する事項」欄で「自分で納付」にチェックを入れないと、自動的に特別徴収(給与天引き)になります。
年金受給者が注意すべきポイント
年金受給者の場合、譲渡所得による住民税増額は普通徴収(納付書)で納めるのが一般的です。
注意すべきは国民健康保険料への影響です。国保の保険料は前年の所得(譲渡所得を含む)に基づいて計算されるため、不動産売却の翌年は保険料が大幅に上がることがあります。
また、住民税が非課税だった方が不動産売却で課税対象になると、医療費の自己負担割合や各種給付金の受給資格に影響する場合があります。
3,000万円特別控除を使った場合の住民税
マイホームを売却して3,000万円特別控除の適用を受けた場合、控除後の譲渡所得がゼロなら住民税もゼロです。
ただし確定申告は必要です。申告しないと控除が適用されず、住民税が発生してしまいます。「住民税がゼロになるから申告不要」ではありません。
| ケース | 譲渡所得 | 控除後 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 売却益2,500万円 | 2,500万円 | 0円 | 0円 |
| 売却益3,500万円 | 3,500万円 | 500万円 | 25万円(長期)/ 45万円(短期) |
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よくある質問
Q. 住民税はいつ届きますか?
不動産を売却した翌年の6月に住民税の通知書が届きます。例えば2026年中に売却した場合、2027年6月に通知されます。
Q. 確定申告をすれば住民税の申告は不要ですか?
はい。所得税の確定申告をすれば、その情報が自治体に共有されるため、住民税の別途申告は不要です。
Q. 損失が出た場合、住民税は安くなりますか?
マイホームの売却で損失が出た場合、「居住用財産の買換え等の譲渡損失の損益通算」の特例を使えば、給与所得等と損益通算して住民税を減らせる場合があります。
Q. ふるさと納税の限度額に影響しますか?
はい。譲渡所得が加わると住民税が増えるため、ふるさと納税の控除上限額も上がります。売却年にふるさと納税を増やすことで節税効果を得られる場合があります。
「住民税や国保への影響は見落としがちです。Base-upでは査定時に「翌年の出費まで含めた手取りシミュレーション」をお出ししています。」
Base-up 久保 塁