不動産を売却すると、固定資産税と都市計画税の「精算」が発生します。毎年1月1日時点の所有者に課税されるため、年の途中で売却した場合は売主が年額全額を負担するのは不公平です。そこで買主との間で日割り計算し、引渡し日以降の分を買主から受け取るのが一般的です。

精算は法律上の義務ではありません

固定資産税の精算は法律で定められた義務ではなく、売主と買主の合意に基づく商慣習です。売買契約書に精算条項を盛り込むことで取り決めます。

固定資産税・都市計画税とは

固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に対して市区町村が課す地方税です。固定資産税評価額に標準税率1.4%を掛けて計算します。都市計画税は市街化区域内の不動産に上乗せされる税で、税率は最大0.3%です。

福岡市の場合、都市計画税の税率は0.3%です。つまり固定資産税と合わせて評価額の1.7%が毎年課税されることになります。

税目課税主体税率課税基準日
固定資産税市区町村標準1.4%1月1日
都市計画税市区町村上限0.3%1月1日

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起算日は「1月1日」と「4月1日」の2パターン

精算の起算日には「1月1日」起算と「4月1日」起算の2パターンがあります。関東では1月1日、関西では4月1日が慣習的に使われることが多いですが、福岡市では1月1日起算が一般的です。

起算日が異なると精算金額も変わります。売買契約前にどちらの起算日を採用するか確認しておきましょう。

起算日特徴採用地域(慣習)
1月1日暦年で分割。課税基準日と一致しわかりやすい関東・福岡など
4月1日年度(4月〜翌3月)で分割。納税通知の発送時期と合う関西など

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日割り計算の具体例

具体例で見てみましょう。固定資産税20万円・都市計画税4万円(年額合計24万円)の物件を、7月1日に引渡した場合(1月1日起算)を計算します。

項目計算金額
年額合計200,000 + 40,000240,000円
売主負担日数1/1〜6/30 = 181日
買主負担日数7/1〜12/31 = 184日
売主負担額240,000 × 181/365119,014円
買主負担額240,000 × 184/365120,986円

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この場合、売主は年額を一旦全額納付し、引渡し時に買主から約12.1万円を精算金として受け取ります。

うるう年に注意

うるう年は365日ではなく366日で計算します。1日分の差額が変わるため、契約書作成時に確認しましょう。

精算金の受け渡しタイミング

精算金は引渡し日(決済日)に売買代金と一緒に授受するのが一般的です。買主が売買代金とは別に精算金を売主に支払います。

なお、1月〜3月に引渡しを行う場合、その年の固定資産税の納税通知書がまだ届いていないことがあります。その場合は前年の税額を基準に仮精算し、通知書到着後に差額を精算する「再精算条項」を契約書に入れるケースもあります。

住宅用地の軽減措置と注意点

住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税が最大1/6に軽減されています。しかし売却後に買主が建物を解体すると、翌年からこの特例が外れ、土地の固定資産税が大幅に上がります。

区分固定資産税の軽減都市計画税の軽減
小規模住宅用地(200m²以下)評価額 × 1/6評価額 × 1/3
一般住宅用地(200m²超)評価額 × 1/3評価額 × 2/3
非住宅用地(更地等)軽減なし軽減なし

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売却時点で住宅用地特例が適用されている場合、精算もその軽減後の税額で行います。買主が解体予定であっても、精算自体は引渡し年度の課税額が基準です。

都市計画税の精算も忘れずに

固定資産税だけに意識が向きがちですが、都市計画税も同様に日割り精算の対象です。福岡市は市街化区域がほぼ全域のため、多くの物件で都市計画税が課税されています。

精算書には固定資産税と都市計画税を合算して記載するのが一般的ですが、内訳を確認しておくと安心です。納税通知書には税目ごとの金額が記載されていますので、手元に保管しておきましょう。

よくある質問

Q. 精算金は確定申告が必要ですか?

固定資産税の精算金は税務上「売買代金の一部」として扱われます。そのため譲渡所得の計算では売却価格に含めて申告する必要があります。

Q. 精算は売主・買主のどちらが計算するのですか?

通常は仲介会社が計算して精算明細書を作成します。売主・買主双方が確認のうえ、決済日に精算金を授受します。

Q. 更地を売却する場合も精算は必要ですか?

はい。更地であっても1月1日時点の所有者に固定資産税が課税されるため、引渡し日を基準に精算を行うのが一般的です。

Q. マンションの場合、管理費・修繕積立金の精算もありますか?

はい。マンションの場合は固定資産税に加え、管理費・修繕積立金も引渡し日で日割り精算するのが通例です。

「精算金は数万円〜十数万円ですが、契約書に条項がないとトラブルの元になります。Base-upでは精算明細を決済前に書面でお渡しし、金額の根拠を丁寧にご説明しています。」

Base-up 久保 塁