「査定は1社でいい?」「たくさん頼んだほうが有利?」——不動産売却の第一歩は査定依頼ですが、何社に依頼するかで迷う方は多いです。結論から言えば、2〜3社がちょうどいい。この記事ではその理由と、依頼先の選び方を解説します。
1社だけに頼むリスク
1社だけに査定を依頼すると、その査定額が適正かどうかを判断する基準がありません。提示された価格が相場より高いのか低いのか、比較対象がないためわからないのです。
また、1社のみだと競争原理が働かないため、営業マンの対応が手厚くならない可能性があります。「他にも依頼している会社がある」と伝えるだけで、対応の質が変わることもあります。
5社以上に頼むデメリット
一方、5社以上に依頼するのもお勧めしません。理由は3つあります。
1. 営業電話の嵐——一括査定サイトを使って5〜10社に依頼すると、各社から一斉に営業電話がかかってきます。すべてに対応するだけで疲弊します。
2. 比較が困難になる——5社以上の査定書を並べても、それぞれの根拠を正確に比較・理解するのは難しいです。情報過多でかえって判断が鈍ります。
3. 各社の営業マンの印象が混同する——会社名と担当者名が一致しなくなり、「どの会社が何を言っていたか」がわからなくなります。
3社がちょうどいい3つの理由
理由①:比較のための最低限の母数がある——2社だと意見が割れたときに判断できませんが、3社あれば「2社が同じ方向を示し、1社が異なる」というパターンが出やすく、相場の目安が掴めます。
理由②:対応負担が許容範囲内——3社であれば、それぞれの営業マンとじっくり話す時間を確保できます。訪問査定も1社あたり30分〜1時間程度なので、1日で3社分を済ませることも可能です。
理由③:競争原理が適度に働く——「他にも2社に依頼している」と伝えることで、各社が真剣に取り組みます。多すぎると「うちに決まる確率が低い」と手を抜かれるリスクもあります。
2社でもOK
物件の条件が明確で、信頼できる2社が見つかっている場合は、2社でも十分です。重要なのは数ではなく「比較できること」です。
3社の選び方 — 偏らない組み合わせ
3社を選ぶ際は、異なるタイプの会社を組み合わせるのがポイントです。
パターン例:
・ 大手1社+地元密着型1社+中堅1社
・ 大手1社+地元密着型2社(エリアに詳しい会社を重視)
・ 地元密着型2社+一括査定サイト経由1社
同じタイプの会社ばかりに依頼すると、査定額が似通ってしまい、比較の意味が薄れます。異なる視点を持つ会社を選ぶことで、多角的な判断が可能になります。
査定額を比較するときの注意点
複数社の査定額が出揃ったら、金額だけでなく「根拠」を比較してください。
・ どの成約事例を参照して算出したか
・ 物件の強み・弱みをどう評価したか
・ 推奨する売り出し価格と、成約の見込み期間はどのくらいか
詳しくは「売り出し価格の決め方」をご覧ください。
・ 値下げが必要になった場合の目安はいくらか
詳しくは「値下げのタイミングと幅の決め方」をご覧ください。
最も高い査定額を出した会社が最良とは限りません。査定額の差が出る理由を理解し、根拠が最も納得できる会社を選んでください。
査定後に1社に絞る判断基準
最終的に1社に絞る場合の判断基準は、以下の5点です。
1. 査定額の根拠が最も納得できるか——数字の裏にある論理を確認してください。
2. 担当者の対応が丁寧で誠実か——質問に的確に答えるか、不利な情報も隠さないか。
3. 具体的な販売戦略を提案してくれるか——「売り出せば売れます」ではなく、ターゲット層・広告計画・価格戦略の具体案があるか。
4. レインズへの登録を約束してくれるか——囲い込みをしない姿勢が見えるか。
5. 相性が合うか——売却活動は数か月にわたります。コミュニケーションに違和感がないかも重要です。
よくある質問
Q. 一括査定サイトで6社に依頼してしまいました。全社と面談すべきですか?
必ずしも全社と面談する必要はありません。電話やメールのやり取りで対応の質を比較し、良いと感じた2〜3社に絞って訪問査定を依頼してください。
Q. 査定を依頼したら必ずその会社に売却を依頼しなければなりませんか?
いいえ、査定は無料で、依頼義務はありません。査定結果を見て検討する段階なので、お断りしてもまったく問題ありません。
Q. 3社に訪問査定を依頼する場合、同じ日にまとめてよいですか?
可能ですが、各社の訪問査定は30分〜1時間程度かかるため、間に1時間以上の空き時間を確保してください。各社の説明を混同しないようにメモを取ることもお勧めします。
「査定は"価格を知る"だけの場ではなく、"不動産会社の実力と姿勢を見極める"場でもあります。ぜひ他社と比較したうえで、私たちを選んでいただければ嬉しいです。」
Base-up 久保 塁