不動産査定とは — 「売れる価格」の見立て

査定額は「売れる金額」ではありません。不動産会社が出す査定額は「この価格なら売れるだろう」という見立てであり、保証額ではありません。そして、会社によって数百万円の差がつくこともザラです。なぜそうなるのか——この仕組みを知っておくと、査定書の「見方」が変わります。

査定は一般的に無料で受けられます。不動産会社は売主から売却の依頼(媒介契約)を受けることで、成約時に仲介手数料を得るビジネスモデルのため、査定自体に費用はかかりません。

査定額 ≠ 売り出し価格成約価格

この3つはそれぞれ異なります。査定額は「売れるだろう」という予測、売り出し価格は「この金額で市場に出す」という設定、成約価格は「実際に売れた」金額です。一般的に、売り出し価格は査定額と同等か若干上に設定し、成約価格は交渉の結果決まります。

机上査定と訪問査定の違い

査定には大きく「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。

不動産査定手続きフロー図 — 机上査定・訪問査定・査定書
机上査定(簡易査定) 訪問査定(詳細査定)
方法 物件データのみで算出 実際に物件を訪問して確認
所要時間 即日〜数日 訪問1時間+報告まで1週間程度
精度 概算(±10〜20%程度のブレ) 高い(個別事情を反映)
使い方 「まず相場を知りたい」段階 「本気で売却を検討中」の段階
使うデータ 住所、面積、築年数、間取り 左記+日当たり、眺望、管理状態、設備、周辺環境など

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机上査定は手軽ですが、物件の「個別事情」が反映されません。同じマンションでも階数、向き、リフォームの有無で数百万円の差が出ることがあります。売却の意思がある程度固まったら、訪問査定を受けることを強くおすすめします。

3つの査定方法 — 取引事例・原価法・収益還元法

不動産の査定には、主に3つの方法があります。物件の種類によって使い分けるのが一般的です。

取引事例比較法

最もよく使われる方法。近隣の類似物件の成約事例を集め、面積・築年数・立地条件などの違いを補正して価格を算出します。マンションの査定で主に使われます。「あのマンションが3,200万円で売れたから、このマンションは条件の違いを考慮して3,100万円程度」という考え方です。

原価法

「今この建物を新しく建てたらいくらか」を基準にする方法。建物の再調達価格(新築で建てた場合の費用)を算出し、そこから築年数に応じた減価(経年劣化)を差し引きます。一戸建ての建物部分の評価に使われることが多い方法です。

収益還元法

「この物件が生み出す収益」から価格を逆算する方法。年間の賃料収入を利回りで割り戻して物件価格を算出します。主に収益物件(投資用マンション・アパート)の査定で使われます。居住用物件ではあまり使いません。

実務では複数の方法を組み合わせる

一戸建ての場合は、土地部分を「取引事例比較法」、建物部分を「原価法」で評価し、合算することが一般的です。また、査定ソフトだけに頼るのではなく、担当者の経験やエリア知識を加味して最終的な査定額を決めます。

マンション査定で見るポイント

マンションの査定で不動産会社がチェックするポイントは多岐にわたります。

カテゴリ チェック項目 影響度
立地 最寄り駅からの距離、周辺の利便施設、ハザードマップ ◎ 大
階数・方角 高層階ほど高い傾向。南向き・角部屋は加点 ◎ 大
築年数 耐震基準(1981年6月以降)かどうかも重要 ◎ 大
管理状態 管理費修繕積立金の金額、大規模修繕の実施状況、管理組合の運営状態 ○ 中〜大
専有面積・間取り 面積、部屋数、使い勝手。3LDKがファミリー層に人気 ○ 中
眺望・日当たり 前面の建物、バルコニーの向き、採光 ○ 中
リフォーム状況 水回り(キッチン・浴室・トイレ)のリフォーム履歴 △ 小〜中
駐車場 専用駐車場の有無、空き状況、月額費用 △ 小〜中

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マンション査定で最も重視されるのは「同じマンション・近隣マンションの成約事例」です。同じ建物内の取引データがあれば、そこからの補正で精度の高い査定ができます。逆に成約事例が少ないマンションは、査定の難易度が上がります。

一戸建て査定で見るポイント

一戸建ての査定は、「土地」と「建物」を分けて評価します。

土地部分

チェック項目 内容
立地・接道 前面道路の幅員、接道方向(南接道が有利)、間口と奥行き
面積・形状 整形地は高評価、旗竿地・不整形地は減価。有効面積がどれだけあるか
用途地域建ぺい率 建て替え時に何が建てられるかが土地の価値を左右する
境界確定の状況 境界が確定していないと売却に支障。確定測量図の有無を確認

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建物部分

チェック項目 内容
築年数・構造 木造は築20〜25年で建物価値がほぼゼロに。RC造は耐用年数が長い
メンテナンス状態 外壁塗装、屋根、水回りの状態。定期的にメンテナンスされていれば加点
間取り・設備 現代のライフスタイルに合った間取りか。設備の老朽化具合

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築古の一戸建ては「土地値」での取引が多い

木造一戸建ての場合、築25年を超えると建物の査定額はほぼゼロになります。しかし「売れない」わけではありません。土地の価値で取引される形になります。詳しくは「一戸建て売却の完全ガイド」をご覧ください。

土地査定で見るポイント

土地の査定は、「この土地で何ができるか(利用可能性)」が価格の決め手になります。

項目 価格を上げる要因 価格を下げる要因
接道 幅員6m以上、南接道、角地 幅員4m未満(セットバック要)、接道義務不適合
形状 整形地、間口が広い 旗竿地、不整形、傾斜地
面積 一般住宅向けの40〜60坪程度 狭小(建築困難)、広すぎ(総額が高くなり買い手が限定)
法規制 第一種低層住居専用など住宅向き 市街化調整区域、建築制限あり
インフラ 上下水道・ガス完備 浄化槽、プロパンガスのみ
古家の有無 更地(すぐ建築可能) 解体が必要な古家あり(解体費用分を減額)

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土地の査定では、公示地価・基準地価・路線価などの公的データも参考にしますが、実際の取引価格はこれらと大きくかい離することがあります。最も重要なのは、同エリアの実際の成約事例です。詳しくは「土地売却の完全ガイド」をご覧ください。

会社によって査定額が違う理由

物件の内覧対応

複数の不動産会社に査定を依頼すると、会社によって数百万円の差が出ることがあります。同じ物件なのに、なぜこんなに違うのでしょうか。

理由① — 使う成約事例が違う

どの成約事例を「類似物件」として選ぶかは、会社(担当者)によって異なります。エリアに詳しい会社は、より適切な事例を選べるため精度が高くなります。

理由② — 補正の判断が違う

成約事例と査定対象の物件の間には必ず違いがあります。その違いをどう評価するか(+100万円とするか、+50万円とするか)は、担当者の経験と判断に依存します。

理由③ — 営業戦略として高い金額を出す

一部の会社は、媒介契約を取るために実際には売れない高い金額を提示することがあります。特に一括査定サイト経由の場合、他社との競争でこの傾向が強まります。

「査定額が高い = 良い会社」ではない

査定額だけで不動産会社を選ぶのは危険です。大切なのは査定額の「根拠」です。なぜその金額なのか、どの成約事例を参考にしたのか、具体的なデータに基づいた説明があるかどうかを確認してください。詳しくは「一括査定サイトの落とし穴」をご覧ください。

AI査定・自動査定の限界

重要事項説明書の確認

近年、ウェブサイトで住所や面積を入力するだけで査定額が出る「AI査定」「自動査定」が増えています。手軽で便利ですが、限界があることを知っておく必要があります。

AI査定でできること

大量の取引データを統計処理し、エリア・面積・築年数などの条件から「相場の目安」を瞬時に算出できます。「だいたいこのくらいの金額帯」というラフな感覚をつかむには便利です。

AI査定でできないこと

AIは物件を「見る」ことができません。日当たり、眺望、室内の状態、管理組合の運営状況、隣人関係、生活利便性の肌感覚——これらは数値データに表れにくい要素ですが、実際の売却価格に大きく影響します。

また、AIは「現在の売出し状況」や「買い手の動向」をリアルタイムで反映するのが困難です。同じマンションに競合物件が3件出ていれば価格は下がりますし、エリアの再開発が発表されれば上がります。こうした生きた情報は、地域に根ざした不動産会社だからこそ把握できるものです。

AI査定は「入口」、訪問査定が「本番」

AI査定で相場感をつかみ、本格的に検討する段階で訪問査定を受ける——この使い分けがおすすめです。AI査定の金額だけで売却の判断をするのは避けてください。

Base-upの査定の特徴

不動産会社での相談風景

Base-upの査定は、「正確であること」と「わかりやすいこと」を大切にしています。

成約事例ベースの根拠ある査定

周辺の成約事例を複数提示し、それぞれの物件との違いをどう補正したかを具体的にご説明します。「なぜこの金額なのか」の根拠が明確な査定書をお渡しします。

手取り概算額まで提示

査定額だけでなく、仲介手数料・税金・その他費用を差し引いた「手取り概算額」までお伝えします。「いくら手元に残るか」がわかることで、売却するかどうかの判断材料になります。

「売らない方がいい」もお伝えする

査定の結果、今は売却しない方が良いと判断した場合は、正直にお伝えします。賃貸に出す、時期を待つなど、売却以外の選択肢も含めてアドバイスします。

査定の全7ステップを詳しく見る →

査定だけでもご利用いただけます

「売るかどうかまだ決まっていない」「まず相場を知りたい」という段階でも査定は無料です。査定を受けたからといって売却を強制することは一切ありません。