借地権付き物件とは、他人の土地(底地)を借りて、その上に建物を建てている形態です。土地を所有していないため売却方法が特殊になりますが、適切な手順を踏めば売却は可能です。

この記事では、借地権の種類ごとの特徴と、売却時に必要な手続き・費用を解説します。

借地権の種類と違い

種類存続期間更新特徴
旧法借地権(1992年7月以前)木造30年、RC60年あり(半永久的)借地人に有利。売却しやすい
普通借地権(1992年8月以降)30年以上あり旧法に近いが更新料が必要な場合も
定期借地権50年以上なし(期間満了で返還)期間が限定されるため売却時に注意

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福岡市内で見かける借地権付き物件の多くは旧法借地権です。更新が繰り返されるため実質的に半永久的な権利であり、所有権の60〜70%程度の価格で取引されます。

旧法借地権の売却

旧法借地権の売却は比較的スムーズです。ポイントは以下の3つです。

1. 地主の承諾を得る。借地権の譲渡(売却)には地主の承諾が必要です。承諾料として借地権価格の10%程度を支払うのが一般的です。

2. 承諾が得られない場合は裁判所の許可。地主が正当な理由なく承諾を拒否した場合、裁判所に「借地権譲渡の許可」を申し立てることができます(借地借家法第19条)。

3. 建物の状態を確認する。借地上の建物が老朽化している場合は建て替えが必要ですが、建て替えにも地主の承諾(建替え承諾料)が必要です。

新法借地権の売却

普通借地権の売却も旧法とほぼ同じ手続きです。ただし、更新料の取り決めが契約に含まれている場合があり、買主にとっては将来のコスト負担が増える要素になります。

売却時には、借地契約書の内容(地代・更新料・承諾料の取り決め)を不動産会社に共有し、買主への説明資料を整備することが重要です。

定期借地権の注意点

定期借地権は更新がなく、期間満了時に土地を更地にして返還する義務があります。そのため、残存期間が短くなるほど物件の価値は下がります。

残存期間40年以上:住宅ローンが利用でき、比較的売却しやすい。
残存期間30年前後:ローンの審査が厳しくなり、買主が限られ始める。
残存期間20年以下:ローンがほぼ使えず、売却が非常に困難。

建物解体費用の負担

定期借地権の契約満了時には、建物を解体して更地で返還する必要があります。解体費用は木造で坪3〜5万円、RC造で坪5〜8万円が目安です。この将来の負担が売却価格に影響するため、買主に解体費用の見通しを説明できるよう準備しましょう。

地主の承諾と承諾料

借地権の売却には地主の承諾が必要であり、承諾料の相場は以下の通りです。

承諾の種類相場(借地権価格に対して)
譲渡承諾料10%程度
建替え承諾料3〜5%程度
条件変更承諾料(木造→RC等)10%程度

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例えば、借地権価格が2,000万円の場合、譲渡承諾料は約200万円です。この費用は売主が負担するのが一般的です。

地主との関係が良好であれば、承諾料を減額してもらえるケースもあります。日頃から地代を滞りなく支払い、良好な関係を維持しておくことが重要です。

底地と借地の同時売却

もし地主も底地の売却を希望しているのであれば、底地と借地を同時に売却して所有権の土地に戻す方法が最も高い売却価格を実現できます。

底地単独の売却価格 + 借地権単独の売却価格 < 所有権としての一体売却価格

この差額は10〜30%にもなることがあります。地主との話し合いが必要ですが、双方にとってメリットがある取引です。

よくある質問

Q. 地主の承諾なしに借地権を売却できますか?

原則として承諾が必要です。無断で譲渡した場合、契約違反として借地契約を解除されるリスクがあります。地主が承諾しない場合は、裁判所に許可を申し立てる方法があります。

Q. 借地権の価格はどうやって決まるのですか?

所有権の価格 × 借地権割合が基本です。福岡市では借地権割合が60〜70%のエリアが多いため、所有権で3,000万円の土地なら借地権価格は1,800万〜2,100万円程度が目安です。

Q. 地代を滞納しているのですが売却できますか?

滞納分を精算してから売却するのが原則です。地代を3ヶ月以上滞納すると契約解除のリスクがあるため、早急に精算してください。

「借地権付き物件の売却は、地主との関係がカギを握ります。承諾交渉に不安がある場合は、私たちが間に入って地主との調整を行います。まずは現状の借地権価格を把握するところから始めましょう。」

Base-up 久保 塁