不動産の売却活動が始まると、「少しでも高く売りたい」「早く決めたい」という気持ちから、かえって逆効果になる行動を取ってしまうことがあります。
この記事では、福岡市での売却現場で実際によく見られる「やってはいけない5つのこと」を解説します。いずれも悪意があってやるわけではなく、知らないからやってしまうケースがほとんどです。
NG1:自己判断での大規模リフォーム
「きれいにした方が高く売れるだろう」と考え、売り出し前にキッチンや浴室を数百万円かけてリフォームする方がいます。しかし、これは多くの場合逆効果です。
理由は3つあります。
1. リフォーム費用を売り出し価格に上乗せできない
200万円かけてリフォームしても、売り出し価格を200万円上げられるとは限りません。買い手は「リフォーム済みだから高い」とは考えず、「相場と比べて高い」と判断します。
2. 買い手の好みに合わない可能性
特にキッチン・浴室の色・素材は好みが分かれます。せっかくリフォームしても、買い手が「自分の好みではない」と感じれば意味がありません。
3. 買い手がリフォーム前提で探している
中古物件を探している方の多くは、購入後に自分好みにリフォームすることを前提としています。その場合、売主のリフォームは無駄な投資になります。
やるべきはリフォームではなく「清掃」
大規模リフォームの代わりに、ハウスクリーニング(3〜8万円程度)を行う方が費用対効果は圧倒的に高いです。水回りの清掃、壁紙の部分補修、フローリングのワックスがけ程度で十分です。
NG2:近隣や知人への安易な口外
「今度うちを売ることにしたんです」と近隣の方や知人に話してしまうケースがあります。これにはいくつかのリスクが伴います。
リスク1:近隣関係の変化
「引っ越すなら」と態度が変わる近隣住民が出てくることがあります。特にマンションの場合、管理組合の役員や自治会の運営に影響が出ることも。
リスク2:情報が歪んで広まる
「○○さんの家、売りに出てるらしいよ」「何か事情があるのかも」など、実際とは異なる憶測が広まるリスクがあります。
リスク3:売却価格が知られる
ポータルサイトに掲載された売り出し価格が近隣に知れ渡ることで、「高すぎる」「安すぎる」という評価が広まり、心理的な負担になることがあります。
相続や離婚に伴う売却は特に注意
相続や離婚に伴う売却の場合、近隣への情報漏洩はプライバシーの問題に直結します。不動産会社にも「近隣への告知は控えてほしい」と明確に伝えておきましょう。
NG3:値下げ交渉への即答
買い手から「○○万円なら買います」と値下げ交渉があったとき、その場で回答するのは避けましょう。
値下げ交渉への即答が危険な理由:
1. 判断材料が不足している
交渉価格が妥当かどうか、冷静に判断するには時間が必要です。「今日中に回答しないと他に流れる」と急かされても、1〜2日の猶予を求めるのは当然の権利です。
2. 他の購入希望者がいる可能性
交渉に即答して値下げに応じた直後に、満額で購入したいという別の申込みが入ることがあります。
3. 不動産会社との連携が崩れる
売主が独自に回答してしまうと、担当の不動産会社が交渉戦略を組み立てられなくなります。
正しい対応は「持ち帰り」
値下げ交渉を受けたら、「不動産会社と相談して回答します」と伝えてください。担当者が交渉のプロとして、適切な落としどころを見つけてくれます。
NG4:不動産会社への報告・連絡の遅れ
売却活動中に売主の状況が変わることは珍しくありません。しかし、以下のような変化を不動産会社に報告しないまま放置すると、トラブルの原因になります。
・住宅ローンの残高が変わった(繰り上げ返済等)
・売却の意思が変わった(時期を延ばしたい等)
・物件に不具合が見つかった(雨漏り・設備故障等)
・近隣で問題が発生した(工事・騒音等)
・税理士や弁護士から助言を受けた
特に物件の不具合を隠したまま売却すると、引渡し後に契約不適合責任を問われるリスクがあります。気づいた時点で速やかに報告してください。
NG5:内覧時の過度なセールストーク
内覧に立ち会う際、物件の良さを伝えたい気持ちからセールストークが過剰になってしまう方がいます。
逆効果になるトークの例:
・「この辺は本当に便利で、絶対に後悔しませんよ」(押し売りの印象)
・「実は他にも内覧の予約が入っているんです」(焦らせる印象)
・「リフォームすればもっと良くなりますよ」(現状の不満を自ら示唆)
・「近所の○○さんは良い人ですよ」(プライバシーの侵害)
内覧対策の記事でも解説していますが、売主は「聞かれたことに簡潔に答える」「それ以外は不動産会社に任せる」のが基本です。
ネガティブ情報を隠すのもNG
逆に、近隣の騒音や過去の雨漏りなど、ネガティブな情報を意図的に隠すのも問題です。物件状況報告書に正直に記載し、不動産会社から適切に説明してもらいましょう。
売却活動中に心がけるべき3つのこと
NG行動を避けた上で、売却活動中に心がけるべきことは以下の3つです。
1. 不動産会社との定期的なコミュニケーション
最低でも週1回は担当者と連絡を取り、販売状況(閲覧数・問い合わせ数・内覧数)を確認しましょう。
2. 物件の状態維持
いつ内覧が入っても対応できるよう、日常的に清掃と整理整頓を心がけてください。
3. 冷静な判断
売却は大きなお金が動く取引です。感情に流されず、データと専門家のアドバイスに基づいて判断しましょう。
よくある質問
Q. 売却活動中にリフォームをしても良いケースはありますか?
はい、不動産会社と相談の上、費用対効果が見込める小規模な補修(壁紙の張り替え、水栓の交換など)は有効な場合があります。ポイントは「自己判断で行わないこと」です。
Q. 近隣に売却を知られたくない場合はどうすればいいですか?
不動産会社に「近隣への告知を控えてほしい」と伝えてください。ポータルサイトへの掲載を限定する、住所の詳細を伏せるなどの対応が可能です。レインズ登録は行いつつ、広告方法を調整する方法もあります。
詳しくは「ポータルサイトの仕組み」をご覧ください。
詳しくは「レインズ(REINS)の仕組み」をご覧ください。
Q. 値下げ交渉には必ず応じるべきですか?
いいえ、値下げに応じる義務はありません。ただし、相場に対して高い価格設定の場合は、ある程度の値引きを見込んだ交渉は一般的です。不動産会社と相談して、受け入れ可能な範囲を事前に決めておくことをおすすめします。
Q. 売却活動中に別の不動産会社に相談してもいいですか?
一般媒介契約であれば問題ありません。専任媒介・専属専任媒介の場合は、契約期間中は他社への依頼はできませんが、相談やセカンドオピニオンを聞くことは制限されていません。
詳しくは「セカンドオピニオンのすすめ」をご覧ください。
詳しくは「媒介契約の3種類」をご覧ください。
「売却活動中に最も大切なのは、不動産会社との信頼関係です。「こんなことを聞いてもいいのかな」と遠慮せず、気になることはすべて担当者に相談してください。Base-upでは売主様との密なコミュニケーションを最も大切にしています。」
Base-up 久保 塁