住宅ローンが残っている不動産を売却するには、抵当権の抹消が必要です。抵当権がついたままでは買主に引き渡せないため、決済日にローンを完済し、同日中に抹消登記を行うのが一般的な流れです。

抵当権とは何か

抵当権とは、住宅ローンなどの借入金の担保として、金融機関が不動産に設定する権利です。借主(所有者)がローンを返済できなくなった場合、金融機関は抵当権に基づいて不動産を競売にかけ、貸付金を回収できます。

抵当権は登記簿の「乙区」に記載されます。売却するには、この登記を抹消して買主にクリーンな状態で引き渡す必要があります。

抵当権抹消にかかる費用の内訳

抵当権抹消の費用は主に2つです。

費用項目金額の目安備考
登録免許税不動産1個につき1,000円土地+建物で2,000円(マンションは敷地権が複数ある場合あり)
司法書士報酬10,000〜20,000円抹消登記の代理手続き費用
事前調査費用300〜600円/件登記事項証明書の取得(オンライン申請なら332円)
合計目安15,000〜25,000円一般的な住宅の場合

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マンションは費用が少し高くなることも

マンションの敷地権が複数の筆に分かれている場合、不動産の個数が増え、登録免許税が1,000円×個数分かかります。事前に登記事項証明書で確認しましょう。

手続きの流れ — ローン完済から抹消登記まで

売却に伴う抵当権抹消は、決済日に以下の流れで同時に行われます。

1. 金融機関へ完済の連絡(売買契約後)。売買契約が成立したら、ローンを借りている金融機関に「売却に伴い全額繰上返済したい」旨を連絡します。通常、返済日の2〜3週間前までに申し出が必要です。

2. 決済日にローン残債を一括返済。買主から受け取った売買代金でローン残債を一括返済します。

3. 金融機関から抹消書類を受領。完済が確認されると、金融機関から抵当権抹消に必要な書類(解除証書・登記識別情報等)が交付されます。

4. 司法書士が抹消登記を申請。決済に立ち会った司法書士が、その日のうちに法務局へ抹消登記を申請します。通常1〜2週間で完了します。

自分で抹消登記はできるのか

法律上は自分で抹消登記を申請することも可能です。しかし売却に伴う抹消の場合は司法書士に依頼するのが原則です。

理由は、売却では所有権移転登記と抵当権抹消登記を同日に行う必要があり、書類の不備や申請ミスがあると買主に損害を与えるリスクがあるためです。買主側の金融機関も、司法書士の立会いを条件とするのが一般的です。

なお、ローン完済後に売却予定がなく、抵当権だけを外したい場合は自分で申請することも十分可能です。法務局の相談窓口でサポートを受けられます。

抹消を放置するとどうなるか

ローンを完済しても、抵当権は自動的には消えません。所有者自身(または司法書士)が抹消登記を申請しない限り、登記簿上に残り続けます。

放置した場合のデメリットは以下のとおりです。

・売却時に手続きが煩雑になる(金融機関の合併・名称変更等で追加書類が必要になることも)

・新たなローンを組む際に障害になる可能性がある

・相続が発生すると、相続人が抹消手続きを行う必要がある

金融機関が合併・消滅した場合

長期間放置すると、抵当権者である金融機関が合併や解散で存在しなくなっている場合があります。この場合、承継先の特定や追加の証明書類が必要となり、費用・期間ともに通常より大きくなります。

ローン完済済みなのに抵当権が残っている場合

相続した不動産でよくあるケースです。被相続人がローンを完済していても抹消登記をしていなかった場合、相続人が抹消手続きを行う必要があります。

手順としては、まず相続登記(名義変更)を行い、その後に抵当権抹消登記を申請します。金融機関から受け取った解除証書が見つからない場合は、金融機関に再発行を依頼します。

詳しくは「相続登記から売却まで」をご覧ください。

よくある質問

Q. 抵当権抹消の費用は誰が負担しますか?

売主が負担するのが原則です。抵当権は売主側のローンに基づくものなので、買主に負担を求めることはありません。

Q. 住宅ローン残高が売却価格を上回る場合はどうなりますか?

いわゆる「オーバーローン」の状態です。差額を自己資金で補填するか、任意売却を検討する必要があります。

Q. 抵当権抹消にはどのくらい日数がかかりますか?

法務局への申請から完了まで通常1〜2週間です。ただし決済日当日に申請するため、売買自体に支障はありません。

Q. 抵当権が2つ以上設定されている場合は?

住宅ローンとリフォームローンなど複数の抵当権がある場合は、すべて抹消する必要があります。費用は抵当権の数×登録免許税+司法書士報酬となります。

「抵当権の抹消は、段取りさえ整えばスムーズに完了します。Base-upでは金融機関への連絡タイミングや必要書類のリストを早めにお渡しし、決済日に慌てないようサポートしています。」

Base-up 久保 塁