物件概要
- 種別
- 区分マンション 1室(1K・25㎡)
- 所在地
- 福岡市博多区吉塚
- 築年数
- 築22年(RC造・10階建ての4階)
- 売却理由
- 出口戦略の実行(修繕積立金値上げ前の売却判断)
- 入居状況
- 賃貸中(入居者あり・月額家賃5.2万円)
- 住宅ローン
- 完済済み
- 担当
- 臼杵 昇平
オーナー N.T様のケース
N.T様は50代の会社員。10年前に投資目的で博多区吉塚の区分マンション1室を820万円で購入しました。オーナーチェンジ物件として購入時から入居者がおり、10年間ほぼ空室なく家賃収入を得てきました。
売却を検討し始めたきっかけは、管理組合の総会で修繕積立金の値上げが議題に上がったこと。現在の月額6,800円が翌年から12,000円に引き上げられる見込みで、さらに5年以内に大規模修繕が予定されており、一時金の徴収も想定されていました。
「10年間で家賃収入は合計約600万円。購入額の大半は回収できています。でも修繕積立金が倍になると手残りが月2万円を切る。大規模修繕の一時金まで考えたら、今が出口のタイミングだと思いました」
N.T様(50代・会社員)臼杵の分析 — 「今売るべきか」を数字で検証
収益物件の売却判断は感情ではなく数字で行うべきです。臼杵がN.T様にお見せしたのは、「持ち続けた場合」と「今売った場合」の5年間の収支比較でした。
選択肢A:あと5年持ち続けた場合
選択肢B:今売却した場合
5年間持ち続けた場合の手残りは約119万円、そして5年後の売却想定額780万円を合わせると合計約899万円。一方、今売却すれば約950万円が手元に残る。差額は約50万円ですが、5年間の手間・リスク・機会費用を考えれば、今売る方が合理的という結論でした。
収益物件の「出口」を決める3つの指標
① 実質利回りの推移 — 管理費・修繕積立金の値上げで利回りが下がっていないか。② 大規模修繕のタイミング — 修繕前に売る方が、買い手の心理的ハードルが低い。③ 築年数による売却価格の変化 — 築25年を超えると投資家の融資条件が厳しくなり、買い手が減る傾向がある。
売却戦略 — 「入居中」を武器にする
収益物件の売却には2つの方法があります。入居者が退去してから「空室」で売る方法と、入居者がいるまま「オーナーチェンジ」で売る方法です。
N.T様の物件は、現入居者が3年以上安定して入居中。家賃の滞納もなし。この状況であれば、「安定した家賃収入がある状態」を買い手(投資家)への訴求ポイントにできると臼杵は判断しました。
| オーナーチェンジ | 空室にして売却 | |
|---|---|---|
| 買い手 | 投資家 | 投資家 or 実需 |
| 価格の根拠 | 利回り計算 | 実勢相場 |
| メリット | 購入後すぐ家賃収入 空室リスクなし | リフォーム後に高値で売れる 実需層にも訴求可能 |
| デメリット | 内覧ができない 利回り次第で価格が制限 | 退去までの収入ゼロ 空室期間のリスク |
| 所要期間 | 1〜3ヶ月 | 退去待ち+売却で6ヶ月〜 |
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今回はオーナーチェンジでの売却を選択。理由は3つ。① 入居者が安定しており「埋まっている物件」として訴求力がある。② 退去を待つと修繕積立金の値上げが先に来てしまう。③ 博多区吉塚は投資需要が高く、利回り6%台なら買い手が見つかりやすいエリアである。
価格設定 — 利回りから逆算する
収益物件の価格は、利回りから逆算して決めるのが基本です。
利回りからの価格算出
臼杵は周辺の収益物件の成約事例(表面利回り5.8〜6.5%)を踏まえ、売り出し価格1,010万円(表面利回り6.2%)を提案しました。「相場の真ん中よりやや高め」に設定し、交渉余地を持たせる戦略です。
売却の経過
売り出し開始
1,010万円でレインズ・ふれんず・投資物件専門ポータルに掲載。物件資料には家賃履歴10年分・修繕履歴・管理組合の長期修繕計画書のサマリーを添付。臼杵が「入居者の安定性」と「博多区吉塚の賃貸需要の高さ」を数字で裏付ける資料を作成。
2週間目|問い合わせ6件
投資家からの問い合わせが6件。いずれもレインズ・ふれんず経由。福岡市内の不動産投資家3名、県外の投資家3名。内覧はできないため、資料の充実度が判断材料になった。
3週間目|購入申込み2件
福岡市内の40代投資家から1,010万円の満額申込み。翌日、県外投資家から980万円の申込み。先着の満額申込みを優先し、N.T様と協議のうえ受諾。
5週間目|売買契約
1,010万円で売買契約締結。買主は現金購入のため、ローン審査なし。入居者への通知は管理会社経由で行い、家賃の振込先変更のみで完了。
7週間目|決済・引渡し
決済完了。鍵の受け渡し(管理会社保管分のみ)と賃貸契約の承継手続きを同日に実施。入居者の生活には一切影響なし。
売却結果
売却価格
1,010万円
満額成約|売り出しから約5週間で契約
N.T様の投資収支(10年間の総合結果)
820万円の投資に対して、10年間で約495万円の利益。年平均の投資利回り(IRR)は約5.5%。N.T様は「銀行に預けていたら数万円の利息。不動産投資として成功と言える結果だった」とおっしゃっていました。
担当者の振り返り
「収益物件の売却で最も重要なのは、感情を排して数字で判断することです。N.T様の場合、『もう少し持っていれば家賃が入る』という心理と、『修繕費が上がる前に売る』という合理性のせめぎ合いでした。5年間の持ち続けシミュレーションを数字で見ていただいたことで、『今が出口のベストタイミングだ』と納得されました。また、物件資料を徹底的に整備したことで、投資家に安心感を与え、満額成約につながったと考えています」
臼杵 昇平この事例のポイント
① 修繕積立金の値上げ前に出口を判断。値上げ後は利回りが下がり、売却価格も下がる。② オーナーチェンジで入居者の安定性を武器にした。空室物件より投資家の心理的ハードルが低い。③ 利回りからの逆算で適正価格を設定。高すぎず安すぎず、市場の相場観に合った価格で満額成約。④ 物件資料の充実が成約速度を加速。内覧ができない分、資料の質が勝負を分ける。
