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仲介手数料と税金だけだと思っていませんか?実は、売却活動を始める「前」にかかる費用がかなりあります。測量費30〜80万円、残置物撤去10〜50万円、ハウスクリーニング5〜10万円——。これらを計算に入れていないと、手取り額の見積もりが100万円以上ズレます。
測量費、解体費、リフォーム費、残置物の処分、草刈り——。これらの「見えない費用」を把握せずに売却を進めると、手取り額が想定を大きく下回ることがあります。この記事では、費用の全体像と「かけるべきかどうか」の判断基準をお伝えします。
1. 不動産売却の「隠れた費用」とは
売却の費用は大きく「売却後の費用」と「売却前の費用」に分かれます。
売却後の費用(よく知られている): 仲介手数料、印紙税、譲渡所得税、登記費用(抵当権抹消)
売却前の費用(見落としやすい): 測量費、境界確定費、解体費、リフォーム費、ハウスクリーニング、残置物処分、草刈り・伐採、地盤調査、建物状況調査(インスペクション)
売却前の費用は物件の状況によって「必要・不要」が大きく変わります。マンション売却なら測量も解体も不要ですが、古家付き土地ならどちらも検討が必要です。
2. 費用一覧 — 全9項目と相場
| 費用項目 | 相場(福岡市) | 対象 |
|---|---|---|
| 確定測量 | 30〜80万円 | 土地・一戸建て |
| 建物解体 | 100〜300万円 | 古家付き土地 |
| リフォーム | 30〜200万円 | マンション・一戸建て |
| ハウスクリーニング | 5〜15万円 | 全般 |
| 残置物処分 | 5〜30万円 | 全般(特に空き家) |
| 草刈り・伐採 | 3〜15万円 | 土地・一戸建て |
| 地盤調査 | 5〜10万円 | 土地(必要時のみ) |
| インスペクション | 5〜10万円 | 一戸建て |
| 分筆 | 30〜60万円 | 土地(大きい場合) |
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すべてがかかるわけではない
上記は「かかる可能性がある」費用の全量です。マンション売却なら、ハウスクリーニング5〜15万円程度で済むケースがほとんど。物件の種類と状態に応じて、必要なものだけがかかります。
3. 測量費・境界確定費(30〜80万円)
土地や一戸建ての売却では、確定測量が必要になるケースが多くあります。隣地との境界確定を含む正式な測量で、隣接地の所有者すべての立ち会いと同意が必要です。
費用が変動する要因
・隣接地の数(多いほど高い)
・官民境界(道路との境界)の有無(市道・県道が絡むと時間もかかる)
・土地の広さ・形状
・筆界特定が必要な場合はさらに費用増
測量が不要なケース
マンション(区分所有)は測量不要です。また、過去に確定測量済みで測量図が法務局に保管されている場合は、再度の測量が不要な場合もあります。
4. 解体費(100〜300万円)
古家付きの土地を更地にして売る場合にかかる費用です。建物の構造・大きさ、立地条件(重機が入れるか)、アスベストの有無で大きく変動します。
構造別の解体費目安(福岡市)
| 構造 | 坪単価 | 30坪の場合 |
|---|---|---|
| 木造 | 3〜5万円/坪 | 90〜150万円 |
| 鉄骨造 | 5〜7万円/坪 | 150〜210万円 |
| RC造 | 6〜9万円/坪 | 180〜270万円 |
安易に更地にしない
建物を解体すると「住宅用地の特例」がなくなり、翌年の固定資産税が最大6倍になります。売却が確実になるまで解体しない方が賢明です。また、買主が注文住宅を建てる場合は「更地渡し条件」で契約し、引渡し直前に解体する方法もあります。
5. リフォーム・ハウスクリーニング(5〜200万円)
リフォームは本当に必要か?
売却前のリフォームは「費用対効果」で判断すべきです。200万円かけてリフォームしても、売却価格が200万円以上上がるとは限りません。
やった方がいいリフォーム:
・水回り(キッチン・浴室・トイレ)のひどい劣化がある場合
・壁紙の汚れ・傷が目立つ場合(張り替え: 6〜8畳で3〜5万円)
・設備の故障(給湯器・エアコンなど)の修理
不要なリフォーム:
・買主の好みに左右される大規模リフォーム(間取り変更など)
・床材の全面張り替え(好みが分かれる)
・外壁塗装(費用の割に売却価格に反映されにくい)
ハウスクリーニング(5〜15万円)
リフォームよりもはるかにコスパが良いのがプロのハウスクリーニングです。特に水回りの清掃は内覧の印象を大きく左右します。
| 箇所 | 費用目安 |
|---|---|
| 全体(3LDK) | 5〜10万円 |
| キッチン | 1.5〜3万円 |
| 浴室 | 1〜2万円 |
| レンジフード | 1〜1.5万円 |
| エアコン(1台) | 1〜1.5万円 |
Base-upの推奨
大規模リフォームよりも、ハウスクリーニング+最低限の補修(壁紙・設備修理)の方が費用対効果が圧倒的に高いです。「きれいに見せる」のではなく「清潔感がある」状態を目指しましょう。
6. 残置物処分費(5〜30万円)
空き家になった実家の売却でよく問題になるのが、家の中に残った家具・家電・日用品の処分です。
費用の目安(福岡市の業者):
・1LDK程度: 5〜10万円
・3LDK程度: 10〜20万円
・一戸建て(物が多い場合): 20〜30万円以上
自治体の粗大ごみ回収を併用すれば費用を抑えられます。福岡市の場合、粗大ごみは1品300〜1,000円程度です。時間に余裕があれば、小さなものから自分で処分を進め、大型のものだけ業者に依頼するのが経済的です。
「残置物あり」でも売れる
買取業者に売却する場合、残置物があっても引き受けてくれるケースが多く、処分費がかからないこともあります。仲介売却と買取で総コストを比較するのも有効な判断方法です。
7. その他の費用 — 草刈り・伐採・地盤調査
草刈り・伐採(3〜15万円)
空き地や空き家で草木が伸び放題になっている場合、内覧前・写真撮影前に草刈りが必要です。100㎡程度の敷地で3〜5万円が目安。樹木の伐採は大きさによって5〜15万円程度です。
地盤調査(5〜10万円)
土地の売却で、買主から「地盤の状態を知りたい」と求められることがあります。スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)で5〜10万円程度。売主の義務ではありませんが、事前にデータがあると買主の安心感が増し、交渉が進みやすくなります。
建物状況調査(インスペクション)(5〜10万円)
中古一戸建ての売却で、建物の劣化状況を専門家に調査してもらう検査です。2018年から重要事項説明で「インスペクションの実施有無」の告知が義務化されました。実施は任意ですが、買主の信頼を得やすくなります。
8. 費用を「かけるべきか」の判断基準
売却前の費用は「かけた分だけ高く売れる」とは限りません。判断の基本は「費用対効果」です。
かけるべき費用
・測量費(土地・一戸建てで境界が未確定の場合): 買主がローンを使えない可能性があり、売却そのものが成立しなくなるリスクがある
・ハウスクリーニング: 5〜10万円で内覧の印象が大幅に改善。費用対効果が最も高い
・最低限の修繕: 水漏れ、建具の不具合など「故障」と判断されるものの修理
慎重に検討すべき費用
・解体費: 更地にすると固定資産税が上がる。買主の意向を確認してから
・大規模リフォーム: 買主の好みに合わない可能性。費用回収は不確実
・地盤調査: 買主から要望があった場合のみ
まず不動産会社に相談
「何にいくらかけるべきか」は物件の状態と市場の状況で判断が変わります。自己判断で費用をかける前に、不動産会社に相談するのが最も賢い方法です。
9. 費用は税金計算上「経費」になるか
売却前にかかった費用の一部は、譲渡費用として売却益の計算上差し引くことができます。差し引ける費用が多いほど、譲渡所得税が安くなります。
譲渡費用になるもの
・仲介手数料
・印紙税(売買契約書の印紙代)
・測量費(売却のために行った場合)
・解体費・取り壊し費用(売却のために行った場合)
・立退料(借家人に退去してもらうために支払った場合)
譲渡費用にならないもの
・リフォーム費用(資産の修繕・改良であり、譲渡のための直接費用とみなされない)
・ハウスクリーニング費用(同上)
・抵当権抹消の登記費用(ローン完済に伴う費用のため)
・引っ越し費用
・固定資産税の精算金
判断が微妙なものは税理士に相談
たとえば「売却目的で行った測量」は譲渡費用になりますが、「相続登記のために行った測量」は対象外です。目的と状況によって判断が変わるため、迷ったら税理士にご確認ください。
10. Base-upでは費用込みの手取り概算をお出しします
Base-upの査定では、売却価格の見通しだけでなく、測量費・解体費・仲介手数料・税金を差し引いた「実際の手取り額」の概算までお出ししています。
「費用を引いたらいくら残るのか」——これが売主様にとって最も重要な数字です。事前に全体像がわかっていれば、想定外の出費に慌てることはありません。
また、測量業者・解体業者・クリーニング業者については信頼できる提携先をご紹介できますので、ご自身で探す手間も不要です。
まずは「何にいくらかかるか」を知ることから
物件を拝見すれば、必要な費用とその概算をお伝えできます。売却するかどうか迷っている段階でも、ご相談いただけます。
