「親の介護が必要になった。実家の近くに引っ越したいが、今の家をどうすればいいか」——介護を理由にした住み替え売却は、時間的にも精神的にも余裕がない中での判断を迫られます。この記事では、介護離職・介護移住に伴う不動産売却の進め方を整理します。
介護離職・介護移住で家を売る人が増えている
総務省の調査によると、介護・看護を理由に離職する人は年間約10万人にのぼります。離職後に実家近くへ引っ越す、あるいは親を呼び寄せるために広い家に住み替えるなど、不動産の売却が必要になるケースは珍しくありません。
特に50〜60代の方にとっては、住宅ローンの完済時期や老後資金とも絡む重要な判断です。感情で動く前に、数字で整理することが大切です。
売却か・賃貸か・保有か — 判断のフレームワーク
介護がいつまで続くかわからない以上、「戻ってくる可能性」を考慮する必要があります。
| 状況 | 推奨する選択肢 | 理由 |
|---|---|---|
| 介護が長期化する見込み | 売却 | 維持費の負担がなくなり、介護費用に充てられる |
| 1〜2年で戻る可能性がある | 賃貸に出す | 家賃収入で維持費をカバーできる |
| ローン完済済み・維持費が低い | 保有も選択肢 | 急いで売る必要がなければ相場を見て判断 |
← スクロールできます →
迷ったら「年間コスト」で比較
空き家のまま保有した場合の年間コスト(固定資産税+管理費+修繕積立金+火災保険+草木管理など)を算出し、それを介護費用に回せないかで考えてみてください。
住宅ローンが残っている場合の対応
介護離職で収入が減少し、ローン返済が厳しくなるケースがあります。この場合、放置すると延滞→競売という最悪のシナリオに進みかねません。
早めに金融機関に相談すれば、返済条件の変更(リスケジュール)に応じてもらえる場合があります。それでも厳しい場合は、売却してローンを完済することが現実的な解決策です。
ローン返済が厳しい場合は早めに相談
延滞が続くと信用情報に傷がつき、将来の借入れに影響します。「返せなくなりそう」と感じた段階で金融機関に連絡してください。
売却で使える税制優遇
自宅を売却する場合、居住用財産の3,000万円特別控除が使えます。ただし、住まなくなった日から3年目の年末までに売却する必要があります。
また、所有期間が10年を超えている場合は「軽減税率の特例」も併用できます。介護移住を決断してから実際に売却するまでに時間がかかると、これらの優遇が受けられなくなるリスクがあるため、方針は早めに決めましょう。
遠方の物件を売却する方法
介護のために実家近くに引っ越した後、元の自宅が遠方にあるケースでは、売却活動が難しくなります。しかし、以下の方法で対応可能です。
1. 信頼できる不動産会社に一任する——内覧の立ち会いも含めて代行してもらえます。鍵を預けておけば、売主が毎回現地に行く必要はありません。
2. 契約時は司法書士を代理人にする——売買契約や決済の場に立ち会えない場合、司法書士に委任状を渡して手続きを代行してもらえます。
3. オンラインでの重説・契約を活用する——IT重説(テレビ電話による重要事項説明)に対応している不動産会社を選べば、遠方でも手続きを進められます。
介護と売却を両立するためのスケジュール
介護中は時間的・精神的な余裕がないのが普通です。だからこそ、やるべきことを最小限に絞り、不動産会社に任せられる部分は任せることが重要です。
| ステップ | 内容 | 所要期間 |
|---|---|---|
| 1. 査定依頼 | 電話またはオンラインで査定を申し込む | 1〜3日 |
| 2. 方針決定 | 売却価格・売り出し時期を決める | 1〜2週間 |
| 3. 媒介契約 | 不動産会社と契約を結ぶ | 1日 |
| 4. 売却活動 | 内覧対応は不動産会社に一任 | 2〜5か月 |
| 5. 契約・引き渡し | 必要に応じて代理人を活用 | 1〜2か月 |
← スクロールできます →
福岡市の介護移住事情
福岡市は医療・介護施設が充実しており、親を呼び寄せる「呼び寄せ介護」の受け入れ先としても注目されています。一方で、福岡市内の物件を売却して親の実家近く(地方)に移住するケースもあります。
どちらの場合でも、まずは今の物件の資産価値を正確に把握することが出発点です。査定は無料で、売却を決めていなくても相談できます。
よくある質問
Q. 介護離職しても確定申告は必要ですか?
不動産を売却して利益が出た場合は確定申告が必要です。3,000万円特別控除の適用を受ける場合も申告が必須です。離職して収入がなくても、譲渡所得は申告対象です。
詳しくは「不動産売却後の確定申告」をご覧ください。
詳しくは「3,000万円特別控除ガイド」をご覧ください。
Q. 親の家を売却する場合も3,000万円特別控除は使えますか?
親名義の家は親自身が居住用財産として使っていた場合に限り、親が売主として控除を受けられます。子が代理で売却する場合は、親の委任状が必要です。
Q. 介護費用に売却代金を充てたいのですが、どのくらい時間がかかりますか?
一般的な売却で3〜6か月、買取であれば最短2週間〜1か月程度で現金化できます。急ぎの場合は買取も選択肢に入れてください。
「介護と不動産の問題を同時に抱えるのは、本当に大変なことです。お一人で抱え込まず、まずは現状を整理するところからお手伝いします。」
Base-up 久保 塁