前回のコラムでは、不動産業界における「囲い込み」の実態と、それが売主にもたらす不利益についてお話ししました。今回は、その問題に対する「答え」——囲い込みをしない売却とはどういうものかを、具体的にお伝えします。
「囲い込みしない」とは、具体的に何をするのか
「囲い込みしません」と宣言するのは簡単です。大切なのは、それを支える具体的な仕組みがあるかどうかです。
① 他社への積極的な情報提供
レインズへの登録は法律上の義務です。しかし、それだけでは「登録しただけ」で終わることもあります。囲い込みしない売却では、他社の不動産会社に対して、物件の魅力が伝わる営業資料を積極的に配布します。間取り図、物件写真、周辺環境の情報、売主が許可した訴求ポイントなどをまとめた資料を、関連するエリアの不動産会社に送ります。
② 他社からの問い合わせに即対応
他社のお客様から内覧希望が入った場合、「確認します」で待たせるのではなく、迅速にスケジュールを調整して内覧を実施します。問い合わせを断ることは一切ありません。
③ 販売活動の透明な報告
「他社からの問い合わせ○件」「内覧○件(うち他社経由○件)」「ポータルサイトの閲覧数○回」——。売主には、自社・他社を分けた販売活動の具体的な数字を定期報告します。
なぜこの方法が売主の利益になるのか
理由① 買い手候補が増える
福岡市内には数百の不動産会社があり、それぞれが購入希望者を抱えています。自社だけで買い手を探すのと、市場全体の購入希望者にアプローチするのとでは、母数が桁違いです。母数が増えれば、好条件で買いたい人が現れる確率も上がります。
理由② 競争原理が働く
複数の購入希望者が現れると、自然に条件の競争が生まれます。「他にも検討している方がいる」という事実は、値引き交渉の抑止力になります。逆に、買い手が1人しかいない状況では、売主は交渉力を持てません。
理由③ 利益相反が生じない
両手取引を目的にしない売却では、不動産会社は売主の利益だけに集中できます。「この価格で売れるけど、自社の買主だからもう少し下げてほしい」——こうした板挟みが構造的に起きません。
情報をオープンにした場合の流れ
各社のお客様(購入希望者)に物件情報が届く
→ 買い手候補が最大化される
「片手取引になって損しないの?」という疑問
よくいただく質問です。「他社に買い手を見つけてもらったら、Base-upの収入は半分になるんでしょう? そんなことして大丈夫?」
その通り、片手取引ではBase-upの収入は両手取引の半分になります。しかし、それでも私たちがこの方法を続ける理由は2つあります。
理由① 売主様の利益が最大化される——私たちの仕事の目的は、売主様にとって最善の結果を出すことです。そのために最も効果的な方法が情報のオープン化であるなら、自社の手数料構造を理由にそれを止めるのは本末転倒です。
理由② 結果として、紹介やリピートにつながる——「正直に向き合ってくれた」という信頼は、次のご相談や知人へのご紹介という形で返ってきます。目先の手数料を2倍にすることより、長期的な信頼関係を築くことの方が、私たちの事業にとっても価値があります。
EPISODE
他社の買主で成約。売主からは感謝された話
博多区のマンションをお預かりした際、Base-upの自社チャネルでも2件の購入希望がありましたが、他社経由で3,350万円を提示する買主が現れました。自社の買主候補は3,200万円と3,100万円。
私たちは迷いなく他社経由の買主を売主にご推薦し、3,350万円で成約。自社の手数料は片手分でしたが、売主様には150万円高い金額をお届けできました。後日、その売主様からご友人を2名ご紹介いただきました。
「囲い込みしない」を見分けるための質問
不動産会社が「うちは囲い込みしません」と言っても、それだけでは判断できません。以下の質問をぶつけてみてください。
Q1. 他社の不動産会社に営業資料を配布していますか? 具体的にどのような資料ですか?
Q2. 販売活動の報告に、他社からの問い合わせ件数は含まれますか?
Q3. 他社経由の買主と自社の買主、両方から申し込みがあった場合、どう判断しますか?
Q4. 直近の取引で、片手取引になった事例はありますか?
これらの質問に具体的に答えられる会社は、本当にオープンな売却をしている可能性が高いと言えます。
久保のコメント
「囲い込みしない」は、きれいごとに聞こえるかもしれません。でも、私たちにとっては経営判断です。福岡市に特化した少数精鋭の会社が大手と渡り合うには、正直さと透明性を武器にするしかない。囲い込みをしないことは、私たちのビジネスモデルそのものです。
情報をオープンにした売却、
試してみませんか。
売却するかどうか決まっていなくても大丈夫です。
まずはお話をお聞かせください。
不動産営業マンのインセンティブ構造
なぜ「両手」を狙うのか
「囲い込みしない」を徹底する理由
Base-upの運用ルール
