「売出価格は、後で交渉されて下がるものでしょう?」——よく聞く誤解です。実データはまったく別の姿を示します。価格の調整は成約間際の「交渉」ではなく、売れずに過ごした期間中の「値下げ」で起きています。このページでは、当社が主要不動産ポータルの掲載情報を横断収集して算出した福岡市の値下げ経験率を、毎週更新の一次データとして公開します。

結論(2026年8月集計・福岡市の中古マンション)

販売中に3%以上の値下げを経験した売出 37%
値下げ幅の中央値 4.8%
一方、成約時の値引き(レインズ成約・当社集計) 中央値1.9%

※ 値下げ経験率の分母は一定期間以上観測できた売出物件(n=921超の値下げ事例から算出)。集計方法は文末参照

福岡市全体 — 種別ごとの値下げ統計(2026年8月)

種別売出中値下げ経験率値下げ幅の中央値売出期間の中央値
中古マンション3,551件37%4.8%23日
中古戸建て751件26%6.9%30日
土地1,090件20%7.3%28日

区別 — 中古マンションの値下げ統計(2026年8月)

売出中値下げ経験率値下げ幅の中央値成約時の値引き中央値
中央区975件32%5%2%
博多区614件34%4.3%4.2%
東区660件39%4.8%1.3%
南区574件44%4.8%0%
西区237件39%4.8%2.5%
城南区168件44%5.6%0%
早良区323件34%4.4%1.2%

※ 成約時の値引き=レインズ成約事例(当社集計、件数10件未満の区分は「ー」)。最終売出価格から成約価格への値引き率の中央値。

この数字の読み方 — 「交渉で下がる」のではなく「売れずに下げる」

上の2つの数字を並べると、福岡市の売却の実態が見えます。

つまり買主は「値切って買う」のではなく、適正価格まで下がってきた物件を買っています。相場より高く売り出した物件は、交渉のテーブルにすら乗らず、数週間〜数ヶ月の時間を失いながら段階的に値下げされ、結局は相場水準で成約する——このパターンが統計に表れています。

これが意味することは1つです。最初の値付けが、手取り額と売却期間の両方を決めます。高めに出して「様子を見る」戦略のコストは、この統計が示すとおり決して小さくありません。高い査定額の会社を選ぶことのリスクは一括査定の仕組みの記事で、値下げ判断の実務は値下げのタイミングと幅の決め方で解説しています。

売主としての使い方

  1. 値付けの現実検証に使う — 査定書の金額が「値下げ経験率37%の市場」で通用する根拠を、担当者に確認してください。成約事例と競合状況で説明できない金額は、営業用の数字かもしれません
  2. 区ごとの温度差を見る — 値下げ経験率が高い区は競争が激しい(または強気の値付けが多い)市場です。同じ福岡市でも区によって難易度は違います
  3. 売出後の判断基準に使う — 売出期間の中央値を大きく超えても反応がなければ、市場はすでに答えを出しています。原因の4分解で点検を

集計方法・出典

よくある質問

Q. 福岡市では売出中の物件のどのくらいが値下げしていますか?

中古マンションで概ね3件に1件が販売中に3%以上の値下げを経験しています。最新の数字と内訳は上の表(毎週更新)を参照してください。

Q. 成約時の値引き交渉はどのくらいされるものですか?

レインズ成約の当社集計では中央値0〜2%程度と小さく、価格調整の主戦場は交渉ではなく販売期間中の値下げです。

Q. 値下げ経験率とは?

一定期間以上観測できた売出物件のうち、販売中に3%以上価格が下がったものの割合(当社定義の指標)です。

Q. 値下げするなら、いつ・どのくらい?

売出後1〜3ヶ月の市場の反応データに基づいて判断します。詳しくは値下げのタイミングと幅の決め方へ。