「タワマン節税」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。タワーマンションの相続税評価額が市場価格より大幅に低くなりやすいことを利用した相続対策ですが、2024年1月以降の相続・贈与から、この評価方法が見直されました。

この記事では、見直しの仕組みをできるだけ平易に整理したうえで、福岡市でタワーマンションをお持ちの方・相続予定の方が「持ち続けるか、売るか」を考えるときの判断材料をまとめます。個別の税額計算は税理士の領域のため、本記事は考え方の整理に絞ります。

何がどう変わったのか

従来、マンションの相続税評価額は建物(固定資産税評価額ベース)と土地(路線価ベース×持分)の合計で計算され、タワーマンションでは市場価格の2〜3割程度まで評価が下がるケースが珍しくありませんでした。現金1億円は1億円のまま課税されるのに対し、タワマンに換えれば課税対象を大きく圧縮できる——これが「タワマン節税」の構造です。

2024年1月以降の相続・贈与では、築年数・階数などから市場価格との乖離率を算定し、乖離が大きい物件は評価額を引き上げる方式に改められました。おおまかに言えば、市場価格に対する評価水準が一定ライン(おおむね6割)に達しない物件は、そこまで評価が引き上げられる仕組みです(正確な計算方法・適用条件は国税庁の通達をご確認いただくか、税理士にご相談ください)。

影響が大きいのはどんな物件か

評価の引き上げ幅は「市場価格と従来評価の乖離の大きさ」で決まるため、影響が大きいのは次のような物件です。

1. 高層階の住戸。従来の評価は階数による価格差をほとんど反映しなかったため、高層階ほど乖離が大きく、引き上げ幅も大きくなります。

2. 築浅・人気立地の物件。市場価格が高く維持されている物件ほど、従来評価との差が開いています。

逆に、市場価格と評価額の乖離が小さい物件(築年数が経過した中低層マンションなど)は、見直しの影響をほとんど受けません。

福岡市のタワーマンション相場【実測】

当社の実測データ(2026年9月時点・毎週更新)から、福岡市のタワーマンションの売出水準を見てみます。

例えば地行浜のザ・パークハウス福岡タワーズEAST(2020年築・292戸)は、売出14件・中央値8,999万円・㎡単価中央値116.6万円/㎡。都心部では㎡単価200万円/㎡を超える売出も実測されています(プレミスト天神赤坂 221.3万円/㎡)。福岡市の中古マンション全体の㎡単価中央値が約47.5万円/㎡ですから、タワー・都心物件は市平均の2〜4倍以上の水準です。

市場価格がこれだけ高い物件は、従来評価との乖離も大きくなりやすい=今回の見直しの影響を受けやすいゾーンと言えます。各棟の売出状況は福岡市の中古マンションレポートから棟別ページでご確認いただけます。

「節税のために持ち続ける」の再検討

見直し後も、不動産の相続税評価が市場価格を下回る構造自体はなくなっていません。「タワマン節税が消滅した」わけではなく、「効果が薄まった」というのが正確なところです。そのうえで、再検討すべきは次のケースです。

1. 住んでもいない・貸してもいない物件を、節税だけを理由に保有している場合。節税メリットが薄まった分、管理費・修繕積立金・固定資産税という保有コストの重みが相対的に増しています。

2. 相続人が売却を予定している場合。相続後に売るシナリオなら、相続前に売って現金で分けるほうが遺産分割がシンプルになるケースもあります(取得費加算の特例など税務上の論点があるため、順序は税理士と相談して決めてください)。

3. 高値圏の売り時を測っている場合。節税効果の縮小は、タワマンの「持つ理由」をひとつ弱めました。市場が高値圏にある間に売る選択肢は、以前より合理性が増しています。相続と売却の全体像は相続税と不動産売却の解説記事もあわせてご覧ください。

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よくある質問

Q. 評価見直しで、タワマンを相続する前に売ったほうがよいのでしょうか?

一律の正解はありません。見直し後も評価額が市場価格を下回る構造は残っており、相続を通じた資産承継のメリットが消えたわけではありません。ただし節税効果だけを目的に保有している場合は、保有コストと市場環境をあわせて再検討する価値があります。税額の試算は必ず税理士にご相談ください。

Q. 福岡市のタワーマンションにも影響がありますか?

全国の居住用区分所有財産に適用されるため、福岡市の物件も対象です。市場価格と従来評価の乖離が大きい高層階・築浅ほど影響が出やすい構造です。福岡市では㎡単価100万円/㎡を超えるタワー物件の売出が実測されており、該当する物件をお持ちの方は評価と市場価格の両方の把握をおすすめします。

データの出典

  • 売出データ:当社集計(主要不動産ポータルの掲載情報を横断収集・重複除去した売出中の実勢データ。毎週月曜集計、棟別は都度更新)
  • 税制情報:国税庁の公表資料(居住用の区分所有財産の評価に関する通達)。計算方法・適用条件の詳細は最新の公表内容と税理士への相談でご確認ください

※ 記載の価格・㎡単価は2026年9月時点の売出価格の中央値であり、成約価格ではありません。当社は税務の個別相談には応じられません(提携税理士のご紹介は可能です)。